トップページ訓練・実践編へ索引

5-4 地域として取り組むべき対策




3 避難所での災害弱者支援体制

避難所で高齢者などの災害弱者を支えるためには、それなりのサポート体制(組織)が必要ですが、あらかじめ避難所の運営体制を確立しておくことによってこそ、適切な運営が図られます。そのためにも、役割分担や責任の明確化がぜひ必要になります。特に重要なのは以下の2点です。
1.的確な情報の提供

的確な情報の提供
●被災直後は情報が不足しがちですから、必要以上の不安や混乱を与えることのないよう、的確な情報提供が大変重要となります。
●テレビ・ラジオなどによる情報のほか、市区町村職員などによる的確な情報収集と伝達が必要となります。
●情報の伝達については、高齢者であるがゆえの視力、聴力、記憶力などの減退といった身体的条件に十分に配慮する必要があります。
2.身体介護など十分なケア体制の確立

●災害弱者の場合は、特に、被災直後の対応の遅さや悪さが、後の深刻な身体状況の悪化につながっていきます。また、避難所での生活が長くなるほど、身体介護など十分なケア体制の確立が確保されないと、ねたきりや衰弱死など悲惨な事態に結びつく危険が高くなっていきます。
●介護技術を備えたホームヘルパーなどを避難所へ派遣し専門知識や技術を身につけたものによる支援が必要になりますが、自主防災組織などによるバックアップ体制と緊密な連携をとることが望まれます。
身体介護など十分なケア体制の確立

安否確認と避難誘導体制が実際に有効に機能するためには、何よりも地域住民みんなの間で、この体制についての共通理解がなされていることが重要です。そのため、きめ細かな広報など地域住民の意識啓発を十分に図る必要があります。

また、意識啓発だけでなく、実際に定期的な訓練を実施するなどして、実践的な体制づくりを図る必要があります。事例紹介では、ひとりの高齢者に対して地域のさまざまな活動を連携させながら災害弱者対策を進めている京都市春日学区自主防災会の例をあげております。このように、高齢者をテーマに既存のさまざまな活動をつなげていくことが、災害弱者対策を考えていく際の重要な出発点になります。こうした関係を基礎にして、災害弱者の救助を想定したさらに高度で実践的な訓練の実施を行っていくと、災害弱者対策が本物になっていきます。