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3-4 訓練方法




コラム より有効な情報伝達のために 〜インターネットの活用

情報の収集・連絡に際しては、電話・無線・口頭・用紙など様々な手段がありますが、地域内・地域外とのやりとり、情報の種類によって、何が有効であるかを訓練を通して話し合ってみましょう。たとえば、基礎的で確実な用紙による情報の収集・連絡も重要ですが、最近の被災現場ではインターネットなど、パソコンを活用した情報の共有・発信も行われています。特にいくつかのそれらの機器を使うことができる地域の人材の掘り起こしもかねて、新しい手段の有効性も検討してみましょう。
大妻女子大学の干川剛史氏の「リスクマネージメントにおける行政と住民・企業の連携-デジタル・メディアを活用した災害対応の実態と課題-」では、自治体や被災者などによる主にインターネットを活用した情報発信・収集の現状が報告されています。たとえば、インターネットが広範に普及しはじめた1998年高知豪雨水害では、被災地の自治体や新聞社がインターネットを積極的に活用して、被災地内の被災者や住民を対象にしたきめ細かな情報提供を行っています。水害発生直後から、高知県や高知市などの自治体はホームページにより、被害状況や各種の生活関連情報を定期的に発信。またボランティアや支援金品の受付窓口の広報、地域住民が情報交換に使用できる「生活情報掲示板」の設置などに取り組んでいます。そして、1999年の広島水害や2000年の有珠山噴火災害と伊豆諸島(三宅島・神津島・新島)の火山活動災害でも、被災地の市町村や都道府県、政府機関、交通機関、電気・ガスなどのライフライン企業、地域メディアやマスメディア等が、ホームページに被災者や災害救援関係者に役立つ情報を掲載しました。
さらに、インターネット利用者の急激な増加に伴って、2000年3月末に発生した有珠山噴火災害と、2000年6月に発生し2004年3月の時点でも終息が見られない三宅島噴火災害では、行政やマスメディア、救援関係者だけでなく、被災者自身がインターネットを情報収集・発信手段として利用するようになっています。
この報告では、東京大学社会情報研究所廣井研究室が行った「三宅島噴火による住民の避難行動と避難生活に関する調査」において、「知りたい情報をよく知らせてくれるもの」としてパソコン(インターネットやホームページなど)を挙げた人が18.8%。また、「パソコン画面でホームページを見た」24.0%(102人)、「紙に印刷されたホームページを見た」24.2%(103人)で、合計48.2%(205人)と回答者の半数にのぼったとしています。
以上の報告からもわかるように、災害時においては、自治体などの防災関係機関がインターネットを通じて情報提供をいち早く行うことが標準化しつつあるような状況です。なお、現状では行政内での情報共有もしくは、行政から被災者に対する一方向的な情報発信というシステム形態がほとんどですが、今後は被災者自身が地域の被災状況・ニーズを集約、情報を行政等に伝達し、適切な支援を求めることができるようなシステムが実現されていくでしょう。実際、インターネットの掲示板を利用して、有志の市民が被害に関する情報を写真画像とともに示して、情報共有を行うといった試みもなされています。
もちろん、一次的な情報の収集および、災害時要援護者なども含めた確実な情報の伝達は、人の手が不可欠です。それぞれの情報収集・伝達のメリット・デメリットについて地域で話し合いながら、有効な訓練を考えてみましょう。
(『都市問題』第94巻5号(財)東京市政調査会(2003)より)
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