火災は、いったん燃え広がると手のつけようがありません。基本的に火を出さない、出してしまっても家族・地域で初期のうちに消し止めることが必須です。
特に大地震に見舞われた場合は、消防車が駆けつけることができないことも想定されます。阪神・淡路大震災でも住宅密集地区を中心にいくつも火災が発生し、広域に延焼、多くの財産が失われました。火災さえ迫ってこなければ、瓦礫や建物の下から救出できたであろう人も少なくありませんでした。
神戸大学の室崎益輝教授らが、神戸市内で地震後3日間に発生した110か所の火災現場を調査したところ、住民の証言から94か所の火災現場で住民による消火活動が展開されていたことがわかっています。特に火元で焼け止まった火災では、住民による消火活動率が高くなっています。このことからも、いかに住民による初期消火活動が重要であるかということがわかります。
基本は、火災が広がってしまわないよう、近隣が協力してすぐに初期消火に取り組めるようにすることです。しかし地域の一部の人が消火技術を習熟させただけでは不十分です。できるだけ広範な住民層が実践的に初期消火訓練にかかわれるような工夫が必要になります。
なお消火活動は、火災の大小を問わず、なんらかの危険をともなうものでもあります。特に婦人防火クラブのリーダーにおいては、地域での効果的な初期消火訓練の方法を考え実践するためにも、火災そのものの特性、市民による消火活動の有効性および限界についても、しっかりと学んでおく必要があります。
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