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8-1 <訓練の総合化>をねらった訓練



これまで述べてきた訓練で、〈訓練の総合化〉をねらった訓練をまずまとめておきます。

ひとつは、日常活動編の<特集:「簡易図上訓練」の実施と訓練用「被災シナリオ作成」の方法>および訓練・実践編の<特集:図上訓練の活用ー実践的防災訓練のためにー>の特集記事で示した内容です。日常活動編と訓練・実践編では取り上げる角度は若干異なりますが、一致した内容のものといえます。

それは、地域の現状をよく知り災害がどのように地域を襲うのかをよく検討して、それに対して日頃から地域の脆弱性をなくすよう、様々な対策・備えをしておくこと。そして災害がいったん起きたときに実際にどのように対応するかを、被害想定を踏まえながらそれぞれの役割に沿って図上演習してみることで、実際の対応可能性や的確な判断ができるか否かを吟味していく訓練だといえるでしょう。一定の時間の流れの中で、発災後に起こる様々な障害を織り込み、所要時間とともに対応可能性をシビアに検討していけばシナリオ型訓練に発展することになります。

こうした図上演習とシナリオ型訓練は、家の中や町内、組織や団体単位、一定の自治体の範域など、いろいろな災害場面を想定して行うことができます。

また、これらを図上演習としてだけではなく、実際に訓練参加者に動いてもらって各種の技能的な訓練と組み合わせて実施していけば、後述する発災対応型防災訓練につながっていきます。

特集に示したような訓練を多角的に行い充実させていけば、様々な実践力や応用力を試す訓練を企画し実際に進めて行くアイデアが生まれてくるでしょう。

訓練の総合化をねらった訓練

もうひとつは、<ミニ特集1>で述べた避難所開設・運営訓練です。これは、災害発生前後の避難所設置から避難生活が継続していく中で起こってくる様々な事態を想定して、そこで生じてくる生活課題を的確に解決して避難所をスムーズに運営していくことを目標にした訓練です。

したがって、避難所生活をともにする人たちが、いかに共同で問題を解決していくか、生活上のルールをどのようにつくりあげていくか、安全管理をどうしていくかなど、広範な事柄が対象になります。

避難生活訓練は、生命の安全が一応確保された避難生活という場面に限定していますが、そのなかで避難所(地域)の管理と組織・集団のマネジメントや調整を進めていくと同時に、給食・給水や情報伝達・連絡、健康の維持管理、災害時要援護者のケアなど、さまざまな事項について総合的に配慮していくところに特徴があり、その点で〈訓練の総合化〉への試みとみることができると思います。