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特集 「簡易図上訓練」の実施と訓練用「被災シナリオ作成」の方法




STEP3:被害を想定する

ただ、こうした被害想定調査報告書には、自分が選んだ大きさの舞台(=地図)、(例えば、自分が住んでいる○○町××丁目自治会の範域)の被災想定結果が、そのまま記されているわけではありません。行政の窓口を訪ねて直接該当する地域の被害を聞いてみてもよいかもしれませんが、この報告書に記載されている数値を使って、自分が知りたい範域の被害想定数値を(逆算して)「取り出す」こともできます。後述の実践レポートに、その具体的な方法を紹介しますので、こちらを参照してください。こうして、自分が知りたい範囲の被害想定数値が求められたら、その結果を実際の地図に書き込んでいく作業に入ります。

STEP4:地図への書き込み

地図への書き込み

〔例1〕「家族の初動措置」を検討するための「家の間取り図」には、家具の配置や家族の成員の状況を書き込んでいきます。もしSTEP 2で、阪神・淡路大震災のように「早朝5時過ぎ発災」という災害を設定していたら、皆が就寝している状況が記されるでしょう。頭はこちらに、タンスはここで……という具合です。また、STEP 2で「夕方発災」という設定にしていたら、家の中にいる人は少ないでしょう。もしかしたら「台所で火を使用」といった状況が、書き込まれるかもしれません。

〔例2〕「町内」や〔例3〕「小学校区」の地図を舞台にする場合は、STEP 3で求めた(地図の大きさに合わせて逆算した)被害想定数値を、地図におとしていきます。ただ、地図に被害をおとす段になると、少し「やりにくさ」を感じるかもしれません。
例えば、自分が舞台に選んだ地域の中で、「倒壊する建物5軒」という想定結果が出たとしても、「あそこの家が壊れる」などという形で被害を具体的に特定することは難しいでしょう。
演習用の「地図」には、とりあえず、被害をランダムに割り振っていくほかはありませんが、できれば一度、自分が選んだ地域を歩いて壊れそうな建物に目星をつけたり、危険物がありそうな工場、火災が発生しやすい飲食店などを頭に入れておくとよいでしょう。