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防火・防災意識を一人ひとりが日常生活の中で育てていくことは、個人個人が現代社会を生き抜いていくうえで大切ですが、それと同時に家族や地域社会にとっても、安全で安心できる生活環境を築いていくという観点からみると非常に貴重な財産になります。防火・防災意識を育てていくことは、いわばひとつの文化を創造していくことでもあり、かなり長期にわたる努力の継続とその努力を支えるしくみが必要になります。

こうした<文化>を創造するには、それにふさわしい教育の場としくみが必要ですが、それは同時に、現実の社会の変化を先取りしながら、それに適合していく柔軟性をもったものである必要があります。婦人防火クラブを含むさまざまな活動は、そうした文化を創造するための教育の場であり、防火や防災に実効性をもたせうるしくみであります。

本サイトは、深い意味では、こうした火災などの災害に対する耐性にすぐれた<文化>を創造していくために、日常的にどのようなことに配慮し計画策定や実践活動を行っていかなければならないかを考える素材を提供しています。本編は、特に安全で安心できる生活環境を築くという観点から、日常的な防火・防災意識を高める<啓発活動>や地域をよく知り火災や災害をよく知ったうえでの地域の実態の改善や安全を守る<しくみづくり>に焦点を当てて、活動のリーダーが心得るべき事柄をマニュアルのかたちで編集いたしました。また、日常性の中で防火意識を向上させていくには具体的にどのような方法がありうるのかを実践的な観点から描き出そうとしています。

今後、できるだけ各地域の<現場>で出てきたさまざまな試みを相互に紹介し合い、それらのノウハウを比較検討しながら、自分たちで活用できる手法を十分に活用していく災害文化が徐々に育っていくことを願っています。そうすることで、実生活に直接役立つ技能や知識を効率的・効果的に学び、地域の中に定着させていくことができると思います。これからの防災では、被災状況をよりリアルに再現し追体験しうる<想像力>を鍛え、それに基づいて実践的な災害対応力を強化していくことが期待されておりますが、こうした実践的な知識と技術習得の積み重ねの中から、火や災害とよりうまくつきあう文化が創造されることを願っています。

なお、本編では、具体的な実践を想定した救急救命法や消火法、情報収集・伝達や避難のしかたに関する実践的な訓練方法や緊急時における対処法などについては触れませんでした。これらについては、本編の姉妹編『リーダーマニュアル訓練・実践編--いざという時のために--』をあわせてご覧いただければ幸いです。

平成15年3月
婦人防火クラブリーダーマニュアル作成に関する委員会
委員長 篠田 伸夫