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2-1 応急救護・搬送訓練の意義



災害時のみならず、普段の暮らしの中でも私たちは、突然のけがや病気に襲われる可能性をいつも抱えています。たとえば、プールで溺れる、脳梗塞などで意識が無くなって呼吸ができなくなる、大けがのショックなどで心臓が止まってしまう、といったケースです。このような場合、救急車が到着するまでの数分間の対応の有無が非常に重要になります。

さらに大規模災害時には、道路が寸断されたり、各地で多数のけが人が出るため、すばやい医療機関の応援を期待することができなくなることが予想されます。

いざというときに、医療機関の手当てを受けることができるまでの間、家庭・地域や職場で、当面の応急的な手当てを行い、命が助かる可能性を高めることができるようにするのが、応急救護訓練の目的です。

また、阪神・淡路大震災では、未曽有の災害状況のなかで、多くの人が近隣住民によって救出されていることから、同時に地域社会の対応力の重要性が認識されました。応急救護の技術に加えて、搬送訓練、救出・救助のための地域の助け合いの体制づくりも重要となります。神戸市では、震災によって救助が必要になった人のうち、約85%を一般の住民が救出したという推計もあります。

つまり、いざというとき手当てを行う人は、他のだれかではなく、私たち自身であるといえるのです。

もちろん、そもそも救助の対象者となってしまわないように、住宅の耐震補強、家具の転倒防止といった事前対策を徹底して行う、という視点も欠かすことはできません。ちなみに、阪神・淡路大震災の犠牲者の89%が住宅倒壊・家具の転倒などによる圧死でした。

救命の連鎖