津波の恐ろしさは、破壊力が非常に大きく、一瞬にして沿岸のまちに浸水、さらに引き波によってすべてを押し流してしまうところにあります。日本で起こる津波の9割以上が、海底で起こる地震によるものです。1993年7月12日、北海道南西沖でマグニチュード7.8の巨大地震が発生し、日本海沿岸一帯に津波が襲来しましたが、震源地に近い奥尻島では、5分後に津波の第一波に見舞われ、青苗地区では198人の死者・行方不明者を出しています。津波の高さは最高で31mにも達しました。またこのときは同時に火災も発生し、多くの家屋が焼失しています。そのほか、1896年に2万人以上の死者を出した明治三陸大津波や1960年のチリ地震など、何度も津波に見舞われている三陸海岸沿いはもちろん、南海、東南海、南関東を繰り返し襲う海溝型の巨大地震によって、日本では古来より各地で多くの津波の被害を受けています。
この三陸地方には「津波テンデンコ」という言葉がありますが、これは「津波が来たら他人の心配をするより、自分の身を守るために、てんでんばらばらに逃げろ」という意味で、津波が襲ったときの行動について言い伝えられてきた教訓です。このように津波被害の危険度の高い地域では、いざというときに迷うことなくすぐに各自が自主的に避難できるよう、津波の被害を想定して地域の危険箇所や避難場所を確認する「津波ハザードマップ」づくりなど、住民への徹底した周知が重要です。
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