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5-4 訓練方法




コラム 地震以外の主な災害とその特徴

防災の取り組みの基本は、まず自分の住む地域に、かつてどのような災害があったのかを知ることです。そうして、災害に対する地域特性、かつてあった災害文化・知恵を掘り起こすことで、より現実的な事前の準備、訓練を行うことができます。


噴火

40人以上の死者を出した1990年の雲仙・普賢岳噴火や、2000年の有珠山、三宅島の噴火による全島民避難など、記憶に新しい噴火災害がありますが、過去には、富士山の宝永噴火(1707年)や浅間山の天明の大噴火(1783年)など、さらに大規模な被害を生じた例があります。しかも、これらの火山を含めて、地球上の活火山のうち、約1割が日本にあるとされています(気象庁2003年調べ)。
火山の噴火にともなって激しい被害をもたらすのは、火口から流れ出る溶岩流、火砕流などです。最近では富士山を含め、活火山に関するハザードマップづくりも徐々に進められていますが、このような地域では、どの場所でどのような被害が起こり得るのかということを常に念頭に入れながら、避難誘導訓練を行う必要があります。

津波

津波の恐ろしさは、破壊力が非常に大きく、一瞬にして沿岸のまちに浸水、さらに引き波によってすべてを押し流してしまうところにあります。日本で起こる津波の9割以上が、海底で起こる地震によるものです。1993年7月12日、北海道南西沖でマグニチュード7.8の巨大地震が発生し、日本海沿岸一帯に津波が襲来しましたが、震源地に近い奥尻島では、5分後に津波の第一波に見舞われ、青苗地区では198人の死者・行方不明者を出しています。津波の高さは最高で31mにも達しました。またこのときは同時に火災も発生し、多くの家屋が焼失しています。そのほか、1896年に2万人以上の死者を出した明治三陸大津波や1960年のチリ地震など、何度も津波に見舞われている三陸海岸沿いはもちろん、南海、東南海、南関東を繰り返し襲う海溝型の巨大地震によって、日本では古来より各地で多くの津波の被害を受けています。
この三陸地方には「津波テンデンコ」という言葉がありますが、これは「津波が来たら他人の心配をするより、自分の身を守るために、てんでんばらばらに逃げろ」という意味で、津波が襲ったときの行動について言い伝えられてきた教訓です。このように津波被害の危険度の高い地域では、いざというときに迷うことなくすぐに各自が自主的に避難できるよう、津波の被害を想定して地域の危険箇所や避難場所を確認する「津波ハザードマップ」づくりなど、住民への徹底した周知が重要です。

風水害

急峻な地形と、梅雨前線・台風の通過などによる大雨、さらには戦後埋立てなどにより、急速な宅地開発などが進んだことによって、毎年大小の風水害の被害を各地にもたらしています。高知県(1998年)や愛知県(2000年)の大水害が記憶に新しいところです。低地や湿地が宅地開発された場所など、地域によって洪水の危険性があらかじめ予測できる場所もあります。また風水害については、台風・前線などの位置、降雨量や河川の水位など、しっかりとした情報を得ることによって、避難準備など事前の対応が可能です。日頃から地域の特性を把握しながら、いざというときに風水害に結びつくような情報をいかに効率よく地域に伝え、避難行動を促していくことができるかどうかが重要です。なおここ数年東京では、夏場のヒートアイランド現象の影響によって、短時間のうちに一極集中的な豪雨が都市を襲い、下水処理施設が降雨量に対応できないために、深刻な被害をもたらすという例も発生するようになってきています。地下に水が流れ込み、犠牲者が出るといったケースも出ています。こういった、都市特有の新しい水害についても注意が必要です。