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  災害時のトイレ問題〜トイレ・パニックに陥らないために〜




「トイレ・パニック」は現実に起こった〜阪神・淡路大震災(2)

□仮設トイレの設置
発災から5日たった1月21日まで、神戸市では仮設トイレの設置・くみ取り計画を詰めるだけのデータ・体制が整えることができず、一方で市役所へは、各地から仮設トイレの設置・し尿処理の窮状を訴える電話が続いていました。ようやく22日から神戸市では、し尿くみ取り業者の全国組織である「全国環境整備事業協同組合連合会」の救援部隊、兵庫県下の業者、ボランティア、大阪市、陸上自衛隊などの応援により、仮設トイレの設置がはじまりましたが、幹線の渋滞、倒壊家屋による道の不通などで小型トラックすら入ることができない場所も多く、悪戦苦闘を強いられています。
□くみ取り・衛生管理
急いで設置したため、神戸市では仮設トイレの設置場所・数・タイプなどが把握しきれず、くみ取り作業など、維持・管理においても、混乱がつづきました。
また、便が山になってくるとすぐにくみ取り要請が市に入りましたが、実際は水をかけて棒切れなどで突き崩せば使えるものがかなりありました。そこで、ボランティアに使い方を伝達してもらうようにし、消臭剤・トイレ洗剤などの配布を行っています。
□撤去・返却
2月16日時点で、ボランティア団体などが設置したものを含め3,041基に達し、このあとは主に撤去・返却作業へと入っていますが、保管場所・洗浄など、多くの労力を使っています。また、撤去要請が出てくる一方で、自宅に帰ったが水洗トイレが使えない被災者から、新たに設置を求める声も上がっていました。
【参考資料】
『震災時のトイレ対策 〜あり方とマニュアル〜』震災時のトイレ対策のあり方に対する調査研究会編(1997)
『阪神大震災 トイレパニック 神戸市環境局・ボランティアの奮戦記』日本トイレ協会 神戸国際トイレットピアの会監修(1996)
『現代のトイレ事情 災害・イベント編』山下亨著(2000)