自治省(現総務省)消防庁は、昭和37年4月6日付長官名で『予防行政の運営方針について』を定め、この中で民間防火組織の育成が重要である旨を強調し、都道府県知事宛に示しました。
そこでは、少年消防クラブや婦人防火クラブの積極的な結成を図っていくべきであるとしております。
具体的には、
1.本部の署の管轄区域の適当な区域ごと(消防本部の設置が義務付けされていない非常備の市町村では、消防団の区域内における分団ごと)、またはその他適当な区域ごとに結成すること
2.行事内容としては、
(ア)消防職員または消防団員が指導して婦人防火教室を開催し、家庭における電気・ガス・石油器具等の使用に関する火災危険、及び正しい取り扱いについての防火研究を行うこと
(イ)グループ間で防火診断を行うことも、火災予防徹底のために有効であること
(ウ)その他具体的な火災予防資料によるクラブ員の防火知識の向上に資すること
とされ、ここでは、婦人防火クラブの活動は「家庭防火」が当初の原点とされていました。
これを契機に、消防本部などによる指導を通じて、各地で婦人防火クラブの結成が進み、クラブ員数も急速に増加していきました。昭和39年には、全国の都道府県には必ず婦人防火クラブが存在するまでとなり、昭和40年代初めに50万人を突破して以降、その後も順調に増加し、現在約233万人のクラブ員を有するまでになりました。
また、婦人防火クラブの活動は、現在では、必ずしも「家庭防火」だけにとどまらず、地域の実情や特性を生かした防火・防災活動を展開し、また、高齢化社会の到来に伴う福祉活動まで展開するなど、地域の安全な社会をつくるために貢献しているところもあり、その活動形態は各地域クラブによってさまざまです。
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