応急時におけるリーダーの役割は、かなり多岐にわたっています。この場合のリーダーは、地域の中でいま何が起こっているかを把握したうえで、それにどう対処していくかを総合的に優先順位をつけて実施していく役割を果たすことになります。応急時には、リーダーたちの自主的な判断でかなりのことができるし、またかなりのことをしていく必要があります。応急時に、多くの住民が、こうした活動拠点を中心にして相互に緊密な連絡を取りながら、協力し合って活動できるか否か、それを可能にする信頼関係を築き合っているか否かが、災害時の活動の可否を決める最大のポイントになります。
応急時には、被災状況とその後の変化を敏感に読みながら、迅速にかつ多くの事柄に同時に対処していかなければなりません。
その際、日常時から培ってきたさまざまな知識、訓練などを思い起こしながら、被災状況を先取りするかたちで、早め早めに対処する必要があります。また、地域住民の信頼を獲得していくためには公平の原則は必須です。ただし、この公平の原則は、機械的な「一律の対処」ということではなく、被災状況や個々の被災者の事情を加味し、状況を柔軟に判断したうえでの公平の原則であることに十分留意する必要があります。その点で、リーダーとしての人間的資質が問われることにもなります。
このように書くと、リーダーに期待される役割はとても重く、とても任には堪えないと思われるかもしれません。しかし、恐らくこうした信頼関係は、日頃の活動の中から生まれてくるものです。日常活動の中で、サブリーダーと協力し合ってどのように人間関係をつくってきたか、試行錯誤しながら集団としての活動をどう積み重ねてきたか、が重要なのだと思います。リーダーは、日常的に、クラブメンバーの所属意識を高め、いざというときには、メンバーとしての自覚をもってともに行動するのだという意識を培う努力をしていくことが重要です。その点では、新任のリーダーの方も、あせらず一歩一歩日常活動を積み上げていくことで集団にふさわしいリーダーシップが培われてくるのだと思っていただきたいと思います。
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