1 はじめに
全国では毎年、非常に多くの方が熱中症により救急搬送されています。昨年は、5月から9月までの全国における熱中症による救急搬送人員は合計で47,877人となり、このうち、暑さ指数(WBGT:湿球黒球温度)が高くなる7月の搬送人員は21,372人、8月は17,579人と多くの方が救急搬送されています。
今年も引き続き、新型コロナウイルス感染症を想定した「新しい生活様式」と両立させた熱中症予防対策の強化が重要となります。また、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境になると予測される日の前日夕方または当日早朝には、「熱中症警戒アラート」が全国の都道府県ごとに発表されます。以下では、熱中症のしくみや予防について紹介します。
2 熱中症について
(1)熱中症のしくみ
熱中症は、温度や湿度が高い中で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、立ちくらみ、頭痛、吐き気、ひどいときには、けいれんや意識をなくすなど、様々な障害をおこす症状のことをいい、最悪の場合は死に至ることがあります。
(2)子どもの特徴
子どもは、身長が低く、地面からの距離が近いため、地面の照り返しによって高い温度にさらされやすく、また汗をかくための汗腺が大人に比べると少なく、体温を調節する機能が未熟なため、熱中症にかかりやすいと言われています。
(3)高齢者の特徴
高齢者は、体温を下げるための体の反応が弱くなっているため、暑さを感じにくい、汗をかきにくい、喉の渇きを感じにくいといった特徴があるため、自覚がないのに、熱中症になる危険があります。
3 熱中症にならないために心がけること
熱中症になるのを防ぐために、以下の項目に心がけましょう。
4 熱中症予防啓発
消防庁では、熱中症予防のための様々な予防啓発コンテンツや熱中症搬送状況等の情報をホームページやツイッターなどで発信していますので、是非とも御活用ください。
昨年度は、「熱中症警戒アラート」の発表時の注意点や「新しい生活様式」におけるマスクの着脱など熱中症予防のポイントを説明する動画を作成し、公開しました。今年度も引き続き、全国の消防本部と連携を図りながら、予防啓発に努めていきたいと考えています。
5 おわりに
熱中症は正しい知識を身につけることで、未然に防ぐことが可能です。これから夏が近づいてきますので、熱中症の予防に御協力をお願いします。
(総務省消防庁「消防の動き」2022年6月号より)