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受講者100万人達成

100万人達成に寄せて

「命を守る防火・防災」に活躍する「防火・防災管理者」養成の意義

(一財)日本防火・防災協会 理事
前 三鷹市長
清原 慶子 様



 令和4(2022)年11月9日の「119番の日」からの「秋の全国火災予防運動」の全国統一防火標語は「お出かけは マスク戸締り 火の用心」で、感染予防と防火防犯をすべて表現した標語です。

 ちょうどこの時期に、日本防火・防災協会が実施している防火・防災管理者の講習修了者が100万人を超えたことを心から祝福し、受講者の皆様、講師や運営に当たられた皆様のご努力に敬意を表します。

 さて、今年2月深夜に発生した三幸製菓の工場で発生した火災では、6名が死亡、1 名が負傷、建屋については全焼しました。8月には、4月に42店舗が焼けた北九州市「旦過市場」で発生した火災が20時間以上燃え続け、45店舗が焼損し、深刻な被害を受けました。平成29(2017)年2月に三芳町で発生した倉庫火災では、鎮火迄に約12日間を要し、火災発見時の適切な通報の必要、屋内外の消火栓設備による確実な初期消火、避難訓練の必要性という教訓が提示されています。地震や風水害についても、国内各所で頻発しています。

 こうした現代的防火防災の対策が求められる中、日本防火・防災協会が実施している防火・防災管理者の講習修了者が100万人を超えたということは、事業所による主体的で自主的な防火・防災管理の実践に大いに貢献することであり、大変に心強いことです。

 防火管理者とは多数の者が利用する建物等の防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理業務を計画的に行う責任者であり、防災管理者とは大規模・高層の建築物等の地震その他の火災以外の災害による被害を軽減する防災管理に係る消防計画を作成し、防災管理業務を計画的に行う責任者です。

 消防法では、一定規模の防火対象物の管理権原者は、有資格者の中から防火管理者や防災管理者を選任し、防火・防災管理業務を行わせなければならないとされています。防火対策と防災対策の一元化を図るため、防災管理対象物においては「防火管理者が行うべき防火管理業務は、防災管理者が行うこと」とされています。

 防火・防災管理業務を適切に遂行することができるための「知識・技能」は、「防火・防災管理講習」の課程を修了することにより得られます。

 最近は新型コロナウイルス感染症対策の為に、気化すると引火しやすい消毒用アルコールが家庭や職場に身近に存在し、スマホやパソコン等の普及はリチウム電池による火災の事例を増加させています。そのような環境変化を認識したうえで、店舗・事業所・工場等では消火設備、避難経路、非常出口の点検、排気ダクトの清掃・点検、配線・配電盤の漏電チェック、防火設備の点検が不可欠です。

 なお、私がアドバイザーを務めている総務省行政評価局では、令和2(2020)年に、コロナ禍を契機に、国の資格の更新等に伴う講習・研修等について、オンライン等(WEB会議システム、eラーニング、動画配信等)による実施状況を調査しました。その結果、更新時講習が義務付けられている資格について、可能な限りオンライン化を進める必要性を確認し、各府省に対し、講習機関に対してオンライン等による実施方法を具体的に提示して助言するなどの積極的な支援の必要性等について指摘しました。

 これに対応して、本協会では予約のオンライン化を推進するとともに、再講習のオンライン化を推進してきたことは大変に有意義です。私は本協会の理事として、その取組の推進を応援してきました。

 今後も、人々の「命を守る防火・防災」に活躍する「防火・防災管理者」養成の継続と内容の充実を心から応援しています。

(杏林大学客員教授・ルーテル学院大学客員教授)



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