大規模災害発生時には、水道が止まったり、流通機能が混乱するため、水・食料の入手が難しくなる可能性があります。また、行政も同様に被災している可能性が高く、行政能力が減退するのに加えて、二次災害の防止や被災者の救出・救護といった一刻を争う仕事に忙殺され、住民の生活の維持に関するしくみを一気に立ち上げることは難しいのです。
そこで、最低でも3日間は、地域で協力し合いながら給水・食事の確保に対処する必要があります。また、避難所生活が長引いた場合は、物資の保管・配布体制など、長期的な対応を考える必要もでてきます。
個々の家庭における備蓄を呼びかける一方で、自主防災組織単位で、被災時を想定して一定の備蓄を進めたり、地域内の資源を活用した食料の調達ルートを確保しておくことも重要でしょう。また、大なべや釜など、家庭でのガスや電気を使った場合とは違う器具の使用・調理方法について、十分に訓練しておく必要があります。学校などの避難所施設関係者、行政担当者との連絡・連携を深めておくことも必要です。
阪神・淡路大震災においては、給食や給水のために長蛇の列ができ、それができなければ水や食事があたらない、結果として高齢者などの災害時要援護者がはじき飛ばされてしまうような場面が、しばしばみられました。
しかし一方で、町内会役員等が中心になって、給食・給水等の配給システム(行政の拠点からの配送も含めて)を確立したところでは、安定した給食・給水の供給を行い、自立的な避難生活を、いち早く実現した事例があります。そこでは、その後の復興への取り組みも積極的に展開されています。
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