戦災を免れた竹町中町には、関東大震災の後に建てられた“築70年”を超える木造家屋が現存しています。こうした旧い町並みを大切にしながら、その防災上の問題点も見据えた取り組みが、地域住民によって進められてきました。→ 『日常活動編』「安全・安心な暮らしを目指して」参照
平成13年に完成した「竹町公園」にも、災害時を想定した様々な「しかけ」が組み込まれています。たとえば、公園内には断水時にも使える手動ポンプ付きの井戸が設置されています。また、ベンチの座席を跳ね上げると、ガスが使えない時でも煮炊きできる「竈」が出てきます。そして公衆トイレの屋根には太陽電池が置かれています。しかも、これらの全てが、地域住民の希望や意見を反映して整備されていることも注目に値します。
ただ、こうした充実した設備も、非常時にうまく使いこなせないと意味がありません。2002年に竹町中町が中心となり、近隣4町会が行った合同防災訓練では、実際にこれらの「しかけ」を利用した訓練が行われました。
この訓練では、ベンチの竈でアルファ米を炊いたり、携帯トイレを使ってみる(組み立てトイレで用を足してそれを個々人が袋で持ち帰る)など、防災関係の設備を実際に利用しました。こうした町の防災訓練によってハード面の防災投資が効果を発揮するようになると言えるでしょう。
なお、この竹町地区の防災訓練は、行政が主催する9月の総合防災訓練に先立ち、8月末に行われています。役所や消防署・警察署は参加・協力する形でかかわっており、訓練の内容なども地域住民によって企画・運営されました。災害時の状況を想定しながら防災訓練を企画し、実行に移していくという取り組みを通じて、地域防災力は確実に向上していくことでしょう。
|