その中で「防災」というテーマは、日常生活を点検し、安心に暮らせる地域の課題を明らかにさせるという役割も果たしているようです。例えば、日常的には何とかやれている高齢者の介護支援体制も、「災害が起こった場合、この体制で大丈夫か?」と考えてみます。緊急時の避難誘導は、普段対応しているヘルパーでは間に合いません。「やはり近隣住区で声を掛け合わなければならない。それでは、そのための態勢を整えよう」ということになります。そこでこの町会では、消防団が作製した大型消火器・消火栓・消火器の位置が記された「中竹防災分布図」の中に、75歳以上の高齢者が住んでいる家に印をつけ、それをもとに、「いざ」というときの態勢について検討を進めています。
また「避難生活が長期化するような災害の場合はどうだろう?」という視点に立ってみると、高齢化率3割超というこの町会の不安な実情が浮上してきます。「高齢者は劣悪な環境に居られないので、環境が整った福祉的な避難所が必要になるだろう。それなら、地域の公民館を災害弱者用避難所にしよう」という結論に達し、現在、備蓄などの準備を進めています。
いつ来るかわからない「いざ」に備えた活動は、忙しい日常生活の中で後回しにされがちですが、「自分たちのまちは自分たちで守る」「安心に暮らせる条件をつくっていく」という“コミュニティの原点”を一つ一つ確認していくことが、「防災」につながっていくことを、この町会の事例は教えてくれているように思えます。
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