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4-2 日常生活の場面からの広がりを意識した活動



2,防災マップと各種地図との統合
ところで近年、防災以外の分野でも、地域活動の一環として、自分たちの住む町の地図を作製したり、地図を通じて町を知る試みがなされています。こういった他の分野で使われている地図を、積極的に防災マップにも取り込んでいくことをお勧めします。
例えば、障害者福祉の分野で行われてきた「バリアフリーマップ」や、学校教育の一環として、地図を持って町に出て行うオリエンテーリングなどが挙げられますが、障害をもった人にとっての要注意箇所は、災害時も注意すべき場所になるでしょう。異なる活動分野の視点から同じ地域がどう見えるのか、地図の上で情報(問題点・課題など)を共有することによって、他の分野の活動との連携が可能であることに気づいたり、あるいは、新たな地域課題が発見できたり、それまでの取り組みの欠点が明らかになるかもしれません。

【各種地図の作製と統合の試み】

各種地図の作成と統合の試み
3,簡易図上訓練
「防災マップ」上で把握された問題点や地域課題は、日頃の地域活動の対象となるものです。地域活動の一つとして、防災の取り組みを進めていく一つの手法として、「簡易図上訓練」が挙げられます。(その具体的な進め方などについては特集・「簡易図上訓練」の実施と訓練用「被災シナリオ作成」の方法で詳しく紹介します)
「防災」の取り組みは、「非日常」を想定した「特別なもの」であるとみなされやすく、地域で普段行われている活動とは切り離して考えられがちです。しかし、そもそも「知らない」ことはできませんし、知っていても日頃から慣れ親しんでいなければ、非常時の混乱の中ではできないでしょう。その意味で、「防災マップ」の作製や、マップを使った「簡易図上訓練」の取り組みは、日常生活の文脈の中で、災害のことを考えていく機会を提供してくれる有効な手段であるといえるでしょう。

4,災害弱者への対応
発災直後の救助・救出、避難においては、迅速な対応行動がとれない高齢者・障害者など、いわゆる「災害弱者」への対応が課題とされてきましたが、こうした人たちへの対処も、近隣住区(単位自治会・町内会)での取り組みが基本となります。
○小地域福祉活動と連携した取り組み:小火を出しやすい痴呆の独居高齢者に対する見守り活動の中で、防火のための声かけ(一声運動)を行う。
○例えば、被災地神戸市では、郊外の大規模仮設住宅における「孤独死」や痴呆高齢者の問題行動などが顕在化し、住民自身やボランティアらによって安否確認・生活支援活動が行われた。