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7-4 訓練方法




災害時要援護者への基礎的な対応方法


高齢者・傷病者など

○援助が必要なときは、できるだけ複数の人間で対応します。
○常に複数の援助者がそばにいるとは限りません。急を要するときは、ひもなどを使って背負い、安全な場所へ避難しましょう。(→「応急救護・搬送訓練−的確な対応が命を救う」参照
高齢者・傷病者など

肢体の不自由な人

○様々な障害の人がいるので、本人や介護者に聞き、それぞれの人に適した誘導方法を確認します。周囲に人が複数いない場合は、ひもを使って背負うなどして対応します。
○車いすの場合、階段では必ず3人以上で協力します。上がるときは前向きに、下がるときは後ろ向きにして、恐怖感を与えないように配慮しましょう。
□急な下り坂
後ろ向きで車いすを支えながら、ゆっくりと下ります。介助者用ブレーキがついていれば、軽くかけながら下ります。
急な下り坂
□階段
○最初にブレーキをかけてから、車いすを持ち上げ、歩調をあわせてゆっくり一歩ずつ移動します。
○電動車いすの場合は走行用電源スイッチを切ってから、大勢(最低6人)で持ち上げるようにします。
○車いすは、持った場所が外れる場合もあるので、本人または介護者に聞くようにします。
階段
□段差の上り下り
1.キャスター(前輪)を上げる。
2.キャスターを段にのせる。
3.後輪を段の角につけたまま、垂直に持ち上げずに、前方へ押し上げる。
(下りるときは、後ろ向きにして、上るときと同じ要領で引いて下ります)
段差の上り下り

目の不自由な人

目の不自由な人
○「お手伝いしましょうか?」と、まず声を掛ける。
○誘導するときは、本人にどのような誘導方法がよいか聞く。杖を持っていないほうのひじのあたりに軽く触れるか、腕や肩をかして、半歩前ぐらいをゆっくり歩きましょう。白杖や手・腕などを引っ張ったり、体を後ろから押すことは絶対に避けてください。
○混乱するので、「あっち」「こっち」「あれ」「これ」などの説明はしないようにしましょう。
○方向を示すときは、「右斜め10m」などと具体的に。時計の文字盤を想定して「10時の方向です」などと説明するのもわかりやすい。
誘導などの際に⇒「避難所は1時の方向です」(前方が12時、右が3時、左が9時と考える)。
例1
 
テーブルやお膳を時計に見立てて⇒「ケーキが9時、飲み物が3時、フォークは6時です」と説明する。
例2

耳の不自由な人、言葉の不自由な人

耳の不自由な人
○話すときは、近くまで寄って相手にまっすぐ顔を向け、口を大きく開いてはっきり話す。
○口頭でわからないようであれば、紙とペンで筆談する。筆記用具がなければ相手の手のひらに指先で文字を書く、空間にゆっくりとひらがなで字を書きながら口の形をはっきりさせて話をする、という方法があります。
○言葉によるコミュニケーションが難しい人でも、多くの人は物事の判断や理解はできます。子ども扱いしたり、自尊心を傷つけるような言動に注意しましょう。
○できるだけゆったりと構えて、ゆっくりと会話するようにしましょう。
○たずねたことと違う答えが返ってくるような場合には、質問の仕方を工夫してみましょう。
「はい」「いいえ」で答えられるたずね方
例1
 
選択肢を提示するたずね方
例2

そのほか

ほかにも、見た目ではわからなくとも、知的障害、精神障害、呼吸器や内臓などの疾患(内部障害)を抱え、避難時や特に避難所での生活に入ったときに、困難をきたしたり、急に体調を崩してしまうようなこともあり得ます。柔軟に対応できるよう、普段から地域において災害時要援護者の存在について幅広く理解し、共有しておくことが大切です。
たとえば、腎臓に障害がある人は人工透析が欠かせませんし、膀胱・直腸に障害のある人は、ストマ(人工肛門)やストマケアのセット、自己導入用品などの医療装具が必須です。
また、日本語が理解できない外国人に対しても対応を考える必要があります。

【参考資料】
『東京都災害弱者行動マニュアルへの提言 障害者およびその家族などのために』東京都障害者震災対策検討委員会(1999)