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3-1 婦人防火クラブをつくるには




事例紹介 女性を中心にする活動の組織化


●昼間の男手の少なさを背景として
女性を中心にした防火・防災活動の組織化は、昼間男手の少ない地域という背景と、防火・防災に関心のある女性が集うという機会が組み合わさった場合が多い。そうした地域の場合、女性の活動が地域全体の防火・防災活動に広がっていく場合も少なくありません。
茨城県ひたちなか市にある柏野自主防災会は、「火の用心」の夜警という活動から始まった私設防火団が、婦人防火クラブ結成(昭和60年)を促し、さらに自主防災会の結成(平成10年)へと展開して現在に至っています。男手がいない昼間には「婦人の手で防火を」を出発点にしながら、徐々に自治会を巻き込んで、街頭消火器の配置、防災組織づくり、防災カルテやマップの作製(幼児・高齢者の割合や住んでいるところが明確にされている)、各種の防災資機材の整備などの活動を地域ぐるみで行う段階まで到達しています。
東京都杉並区にある天神山町会防災会は、天神山町会内の総務部を中心に構成されている組織です。防災会会長である町内会長以外は、総務部長以下、広報部、防火部、救出救護部、避難誘導部、食糧調達部など防災会メンバーのすべてが女性であり、昼間男手の少ない地域を守っています。帰宅困難者の立場で新宿から甲州街道を歩いて帰宅したり、独自の防災体操を考案したりするなど、積極的な活動を展開しています。

防災チェック
●行政の働きかけも有効
また、防火・防災に関心のある女性が集う機会づくりという点では、行政の働きかけも有効でしょう。
神戸市では、市民・事業者・行政が協力し合って福祉活動や防災活動に取り組む「防災福祉コミュニティ」の事業を推進していますが、若松ふれまち女性防災員もそうした中から生まれてきました。地域には、もともと地域の担い手の高齢化が進み、若手男性の参加が得られにくいという事情があり、それが家庭だけでなく地域も私たちの手でという、女性防災員の結成につながりました。近隣が協力して家庭防火に貢献するため、「火災予防など、防災思想の普及に関すること」「火災など災害防止のための広報に関すること」「家庭内における防災技術の研究に関すること」などの事業を進めています。
行政が実施した女性防災リーダー育成研修会がきっかけで、強力な女性防災クラブの結成につながったのが、神奈川県平塚市の「平塚パワーズ」です。
平塚市では、普段家庭にいる女性を対象にして平成7年から女性防災リーダーを募集し、街頭消火器の使い方からチェーンソーの使い方、救急法、災害弱者の介護のしかたまでを学ぶ研修会を開催しました。平成8年その修了生からなる平塚パワーズが発足、その後、市域を6ブロックに分けて、その単位で活動しています。緑化まつりでは、その会員が「地震防災対策チェック表」を作製して、参加者に防災チェックを行うなど、先進的な活動をしています。