■子供の視点で発見された「危険」
この防災マップづくりは、1998年3月に西宮市浜脇校区で「わがまち再発見」と題した最初のワークショップを開催してから、2002年8月までの間にすでに10回以上行われてきました。実際のワークショップでは、まず子供たちを幾つかのグループに分け、チェックポイントが示された地図を渡してオリエンテーリング式に街を歩いてもらいます。各グループには大学生のボランティアリーダーが同行し、子供たちの安全確認やプログラムの進行を管理します。道中で発見したことは、戻ってから地図に書き込み、模造紙に、撮った写真などと張り合わせて、報告してもらいます。
子供たちは、歩きながら危険を感じる場所・ちょっと気になる場所にチェックを入れていきますが、危険を示す標識(防犯連絡所など)が漢字で書かれていて読めなかったり、子供の背丈では駅前に林立する自転車群に強い圧迫感をもつなど、子供の視点に立つことで発見された「危険」もありました。
またこのワークショップでは、対象が小学生であるため、親(保護者)の同伴も認めているそうです。親の同伴については議論があったようですが、「副次的な効果」ももたらしているといいます。例えば、子供と親が同じ体験を共有することで家庭内で防災について話す機会が増えたり、また親から学校に対して「子供たちが作製した防災マップを、小学校の廊下に張り出してほしい」という要望が出されて、実際に何度か実現しているそうです。
「このプログラムでは、『学んだ』『防災意識が高まった』といった直接的な成果はあまり期待しないようにしています。子供が、行事に参加して、人と出会って、普段の生活の中から新たな発見をして、それらを『楽しい』と思ってもらうこと……これが一番の収穫だと思っています」とスタッフは語っています。
(機関紙「NVNAD通信」及びNVNADのHPから引用)
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