安全で安心できる生活は、家庭を取り巻く地域社会の安全が確保されて、はじめて可能になると言ってもよいでしょう。また、地域社会の中で、防火や防災に対する意識が高ければ、個々の家庭の意識も自ずと高められていくことでしょう。上述の研修会・学習会なども、それぞれの地域の事情にあった知識が習得できるように、地域住民の婦人防火クラブが主体的に企画し、実施していくことが理想です。
ここでは、家庭を取り巻く地域社会の中で取り組むべき課題を検討していきますが、近年、とくに都市部に住む人々の生活圏はかなりの広がりを見せています。首都圏の通勤時間は、平均で1.5時間と言われており、「埼玉都民」「千葉都民」などという言葉も生まれています。つまり、自分の地域を遠く離れているときに、災害や事故などの危険に遭遇する機会が増えているのです。そうした傾向を念頭におきながら、個々の生活圏域の広がりに合わせて、対応策・行動基準を考えておく必要があります。
そこで、以下では、災害時の対応行動や災害対策の実務を念頭において、一定の範域を設定し、その範域の中で取り組むべき(取り組めば有効である)防火(防災)対策とは何であり、またそれらはどのように講じていくことが効果的なのか、について考えてみたいと思います。
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