地域の現状を正確に把握することは、防災活動を進めていくうえでの出発点になります。防災意識も、地域の正確な現状認識の裏づけがあってこそ、生きた実践的な防災活動につながっていくのです。
災害の危険性を知るには、専門家による地域危険度の測定が必要になりますが、自主防災組織などを中心にした住民の調査によって一般的な項目についてある程度まで知ることはできます。
それ以上に、地域住民が共同で地域の危険箇所などを点検し地図におとしていく作業は、住民が住んでいる地域をよく知る機会を提供すると同時に、活動の指針を策定したり、非常時の対応を考えたりする際の重要な手がかりになります。また、地域オリエンテーリングなどのイベントと組み合わせるなど、やり方を工夫すれば、楽しい共同作業になり、役員や住民の一体感と防災への関心を高めることにつながります。
特に、非常時に役立つ情報(災害弱者に関する情報などを含めて)を盛り込むよう努めれば、実践的な訓練を行う際、大いに役立つはずです。
地域防災カルテ・地図は、定期的に修正し、常に現状に近いかたちで管理維持を図る必要があります。したがって、年間の活動行事の中に、地域の防災巡視・点検と防災カルテ・地図の修正の機会を設けることが大切です。
防災カルテ・地図は、自主防災組織で保管するだけでなく、できれば印刷して関連機関や住民に配布することが望ましいでしょうが、その際独居高齢者などのプライバシーにかかわる情報については防災リーダーのみにとどめ、印刷段階では削除するなど情報管理・運用面での配慮も必要になります。
なお、防災巡視・点検を細部の項目にわたって行う場合には、防火点検、道路点検、倒壊物点検、落下物点検といったように、項目ごとに行うことも考えられます。
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