こうして「舞台」の広さを設定し終えたら、次は、舞台の「背景」を決めます。つまり、その舞台の上でどのような災害を発生させるのかを決めるのです。
今回の演習では「地震」を発生させることになりますが、現実の対応を検討していくのですから、そこで起こる災害もできるだけ現実に近い形で引き起こしてあげる必要があります。
そこで、参照していただきたいのが、各自治体で発行している被害想定報告書です。この報告書は、各自治体の庁舎、地域(大学)の図書館などで、購入・閲覧することができます。例えば東京都では、直下型地震を想定した調査の結果を『東京における直下型地震の被害想定に関する調査報告書』として発行しています。
こうした被害想定調査報告書には、ある一定の条件*―いつ・どこで・どのくらいの大きさ、といった条件―の下で地震が発生した場合、どのような被害が発生するのかを、地盤や構造物調査によって推計した結果が記されています。具体的には、一定の範囲(市区町村)内で起こりうるさまざまな被害を、被害項目(犠牲者、建物倒壊、火災被害など)ごとに集計された数値が記されています。
この報告書の地震の発生条件と被害想定数値を使うことによって、かなり信頼性の高い被害想定を行うことができるでしょう。
*例えば、東京都が平成9年に発行した被害想定報告書の発災条件は、「冬の夕方6時に東京都の直下(4か所)でマグニチュード7.2」となっています。
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