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2010年8月

4.霧島市を襲ったゲリラ豪雨災害について

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平成22年(1月~12月)における火災の概要

 平成22年7月3日、鹿児島県霧島市を襲ったゲリラ豪雨災害に対処し、救助活動の陣頭指揮をされた霧島市消防局長後庵 博文様から災害状況について寄稿いただきましたので、ご紹介します。

鹿児島県 霧島市消防局長 後庵 博文


立ち往生した6台のうち4台が転落
 平成22年7月3日深夜激しく叩きつける雨音で目覚め17年前死者17名の犠牲者を出した8.1水害を彷彿し思わず身震いをした。
 すぐさまパソコンで気象情報を取得し大雨による災害を予測し自宅をあとにした。道々小さな崩落が始まっており今後の雨量次第では大きな災害へと繋がる可能性が大きいと判断し車中より第一次配備を下命した。
 今回の現場付近にさしかかると、いつもは水量も少なくその存在すら知られないような川が氾濫し道路上に溢れ出しており、過去の経験からこのままでは道路決壊につながると判断し関係機関に連絡し、出勤後中央署長に状況把握の為出場するよう下命した。現場より帰署したポンプ隊によると、激しい水流により前進するとフロントウィンドウまで達し視界が遮られるほどで、手が付けられる状況ではないとの報告を受け、下流部の堤防決壊、市街地への浸水を懸念し部下二名と河川巡視に出場中、署長からの緊急連絡により、現場付近は更に増水し、数台の車両が立ち往生し一部車両にあっては徐々に流されつつあるので救助隊の応援を要請するとの無線を耳にし、直近にいた事と現場の地形に熟知している事で、自分が行くしかないと直ちに向いました。

落下を免れた出動車両
 途中、道路は一部決壊が始まり電柱も傾き危険な状態であった事と現着してみると、車6台が立ち往生し、溢れ出す勢いに加え5パーセントの下り勾配により加速された水勢は急流と化し軽ワゴン車のボンネットを超す勢いであった為、救助隊は引き返し迂回、上手より進入、ポンプ隊は道路封鎖をするよう下命し救助方法を模索中、後方7メートルまで崩落が進んでいることを視認、一刻の猶予もできないと判断、濁流の中を200メートル先の指揮所までたどり着き、署長以下に活動方針を伝え民間車両の協力を得て無事に救出できたことは、消防への社会的評価と信頼に繋がりました。
 最後に自然に対し人間がいかに無力であるかという事と、危険予知の大切さを痛感いたしました。


道路が決壊され、落下寸前の車両

4台の車が落下
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