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2016年6月

3.風水害に対する備え

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総務省消防庁 防災課

 我が国では毎年、台風や梅雨前線などの影響により多量の降雨があり、各地で洪水や土砂災害が発生しています。昨年は、気象庁が「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名した、9月9日から11日に関東地方及び東北地方で発生した豪雨など、甚大な被害が発生しました。

洪水
※国土交通省提供平成27年9月の台風18号等による浸水被害(茨城県常総市)
平成27年9月の台風18号等による浸水被害
(茨城県常総市)
 流域に降った大量の雨水が河川に流れ込み、特に堤防が決壊すると、流域では大規模な洪水被害が発生します。また近年、短期間に局地的に激しい雨が降り注ぎ、山間部や都市部の中小河川に一気に流れ込み、平常時には川遊びができるような穏やかな河川が増水して勢いを増し、氾濫して流域に甚大な被害をもたらす事例が各地で発生しています。
 平成27年9月に発生した台風18号では、西日本から北日本にかけて広い範囲で大雨となりました。特に、関東地方と東北地方では記録的な大雨となり、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名されました。この豪雨により、鬼怒川(茨城県常総市)、渋井川(宮城県大崎市)では、堤防が決壊して洪水が発生し、住家や道路等の被害が多数発生しました。この台風による人的被害は、死者8人(宮城県2人、茨城県3人、栃木県3人)負傷者80人(平成28年4月現在)となっています。
 茨城県、宮城県から緊急消防援助隊の要請が行われ、9月10日から17日までの8日間で、のべ572隊2,246人が救助活動等を行いました。

土砂災害
※内閣府提供平成26年8月の広島市土砂災害
平成26年8月の広島市土砂災害
 大雨により、地中に含まれる水の量が多くなると土砂災害が発生しやすくなります。大雨のときには、土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害に厳重に警戒する必要があります。
 平成26年8月には、近畿、北陸、東海地方を中心に大雨となり、広島県広島市安佐北区三入で1時間降水量101.0mm、3時間降水量217.5mmを観測するなど観測史上最大の値を記録しました。
 この大雨により、広島県広島市で土砂災害が発生し、人的被害は死者76人(広島市安佐南区70人、安佐北区6人)、負傷者68人(平成27年12月現在)となっているほか、土砂災害による住家や道路等の被害が多数発生しました。

局地的な大雨による災害
 近年は、短時間強雨の回数が増加傾向にあり、短時間に局地的に非常に激しい雨が降ることで中小河川の急な増水、アンダーパス※の浸水等を引き起こし、被害を生じさせる事例が多く発生しています。
 ※アンダーパス:交差する鉄道や他の道路などの下を通過するために掘り下げられている道路などの部分をいいます。周囲の地面よりも低くなっているため、大雨の際に雨水が集中しやすい構造となっています。

早めの避難が命を救う
 風水害による人的被害を減らすには、早めの避難が欠かせません。市町村から避難勧告・指示などの発令があった場合は、すぐに安全な場所に避難しましょう。また、気象情報や市町村からの情報等をチェックし、少しでも危険と思われる場合は速やかに避難することが重要です。
 また、気象庁は平成25年から「特別警戒」を運用しています。従来の警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、重大な災害の危険性を著しく高まっている場合に「特別警報」を発表し、最大限の警戒を呼び掛けます。特別警報の伝達方法としては、気象庁が自ら周知の措置をとるほか、消防庁の全国瞬時警報システム(Jアラート)により地方自治体等に配信され、当該自治体等の防災機関の通信網を活用し、住民に伝達する体制がとられています。あわせて、報道機関の協力を得るなど様々な方法で周知に努めています。
 特別警報が出た場合、お住まいの地域は数十年に一度しかないような非常に危険な状況にあります。周囲の状況や市町村から発表される避難勧告・指示などの情報に留意し、直ちに命を守るための行動をとってください。
 そのためには、日頃から避難場所の位置やそこまでの道筋を確認しておくことが重要となります。
 また、危険が迫る前に避難を完了しておくことが一番ですが、暗い時間帯や、強い雨の中を避難をしなければならない場合も考えられます。浸水等により避難場所までの歩行等が危険な状態になった場合には、生命を守る最低限の行動として、自宅の上層階で山からできるだけ離れた部屋や近隣の堅牢な建物などへ緊急的に避難するなど、臨機応変な対応をとる必要があります。

災害による被害を減らすためにできること
 災害による被害を最小限にとどめるためには、地域住民の皆さん一人ひとりが災害に対して日頃から備えておくことが必要です。
 また、災害時の避難において支援を要する方々が迅速・安全に避難できるように、いざという時に誰が支援し、どの段階でどうやって避難するかなど、具体的な避難支援計画を定めておくことが重要です。
 都道府県や市町村では、総合防災訓練や防災に関する講演会・展示などのイベントを実施しています。また、地域の自主防災組織でも防災訓練が実施されていますので、こうしたイベントや訓練に是非参加して、いざという時に取るべき行動などを今一度確認してみてください。

(総務省消防庁「消防の動き」2016年5月号より)


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