1 林野火災の発生状況及び注意点
国内における林野火災は、例年春先に多く発生しています。平成28年中は、下図に示すとおり3月から5月までの間に588件の火災が集中して発生しました(年間出火件数の約57%)。
春先に林野火災が多いのは、枯葉が地上に積もり、下草も枯れているうえ、降雨量が少なく、空気が乾燥し、季節風が吹くなど林野火災が発生しやすい気象条件となっており、
さらに、この時期になると火入れが行われ、また、山菜採りや森林レクリエーションなどにより入山者が増えることによるものと考えられます。
森林火災の月別出火件数(平成28年中)
平成28年中の林野火災発生状況をみると、出火件数は1,027件( 前年1,106件)、焼損面積は384ha( 同538ha)、損害額は1億5,718万円(同2億5,502万円)、死者は8人(同8人)となっています。
出火原因としては、「たき火」によるものが309件で全体の30.1%を占め最も多く、次いで「火入れ」、「放火(放火の疑いを含む)」、
「たばこ」の順となっており、「火遊び」を含めた人為的な要因による火災の割合は、全体の約64%を占めています。
林野火災を未然に防ぐため、次のような点に注意するよう心掛けましょう。
林野火災の出火原因別件数(平成28年中) 【林野火災防止のための注意点】
- ● 枯れ草等のある火災が起こりやすい場所では、たき火をしないこと
- ● 喫煙は、指定された場所で行い、吸いがらは必ず消すとともに、投げ捨てないこと
- ● バーベキューなど火を使用する場合には、指定された場所で行い、そこを離れる時には、完全に火を消すこと
- ● 各自のゴミは、指定された場所に捨てるか持ち帰ること
- ● 火気を使用する場合は、周囲の可燃物の状況に十分注意するとともに消火用の水等を必ず用意すること
- ● 火入れを行う際、許可を必ず受けること
- ● 強風注意報や乾燥注意報などが発表されている場合は、火気の使用は差し控えること
2 全国山火事予防運動(3月1日~3月7日)
消防庁では、広く国民に山火事予防意識の啓発を図るとともに予防対策を強化し、森林の保全と地域の安全に資することを目的として、
林野庁と共同で春季全国火災予防運動期間中の3月1日から7日までを「全国山火事予防運動」の実施期間と定め、次のような活動を通じて山火事予防を呼び掛けています。
【全国山火事予防運動期間中における主な活動】
- ● 全国の消防関係機関において林野火災の予防対策と警戒を強化
- ● ハイカー等の入山者、地域住民、小中学校の児童・生徒等を対象とした啓発活動
- ● 駅、市町村の庁舎、学校、登山口等への警報旗やポスターの掲示
- ● テレビ、インターネット等の各種広報媒体を活用した山火事予防意識の高揚
- ● 消防訓練及び防火研修会の開催、女性(婦人)防火クラブの広報活動など
平成30年 山火事予防の標語
「小さな火 大きな森を 破壊する」
3 おわりに
森林は、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素を吸収し、生命に必要な酸素を供給する貴重な資源であり、一度焼失してしまうと、その回復には長い年月と多くの労力を要することになります。
林野火災の大部分は、皆さん一人ひとりの注意で防ぐことができます。貴重な人命や財産を火災から守るため、林野での火気の取扱いには十分気を付けましょう。
(総務省消防庁「消防の動き」2018年2月号より)