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2026年1月

3. 令和7年度全国自主防災組織リーダー研修会を開催しました

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一般財団法人 日本防火・防災協会

令和7年11月28日(金)・29日(土)の2日間、当協会主催による「令和7年度全国自主防災組織リーダー研修会」を、東京都千代田区にあるホテルルポール麹町にて開催しました。 各都道府県から各2名の自主防災組織のリーダーを募集したところ、各地域から60名の方々にご参加いただきました。


この研修会は、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が定められたことを機に、その趣旨を実現すべく、全国の自主防災組織リーダーの皆さんが一同に会し、組織運営の実態・課題について意見交換する場を設ける等の目的により、今回で10回目の開催となります。

この研修会を開催することによって、より一層自主防災組織の意識を高め、活動への参加促進や活性化が図られ、自主防災組織の発展につながるものと考えます。

-第1日目-
<開会の挨拶>

(一財)日本防火・防災協会 会長 秋本 敏文による開会の挨拶では、阪神・淡路大震災の経験を振り返り、全国からの応援体制と同時に、地域の人たちが力を合わせて助け合う自主防災組織の重要性を強調しました。こうした考え方が制度として形になったのは東日本大震災後であり、現在も消防団や女性防火クラブの減少など課題は多いと指摘。今回の研修会を通じ、各地の事例共有や意見交換を行い、今後の地域防災活動につなげてほしいと期待を述べました。


研修会の様子

秋本会長による開会の挨拶

<来賓挨拶>
総務省消防庁 国民保護・防災部長 門前 浩司 氏


門前 国民保護・防災部長による来賓挨拶

冒頭、日頃から防災訓練などに取り組む自主防災組織のリーダーの方々へ感謝を述べられました。

近年、災害の激甚化・頻発化が進み、林野火災や大雨、大分市での大規模火災など甚大な被害が発生している中、被害を最小限に抑えるには自主防災組織の役割がますます重要であると強調。能登半島地震での迅速な避難や避難所開設の事例を紹介し、今後も共助の中心としての活動に期待するとともに、消防庁としても人材育成や組織活性化への支援を続けてまいります、など述べられました。


<基調講演>
『廣井氏による講演 「これからの防災まちづくり」 』
 東京大学 教授 廣井 悠 氏


廣井氏による講演

「都市防災」とは都市災害の被害軽減を通じて安全で快適な都市を創造する取り組みであり、防災は幸せな都市・社会を実現するための手段にすぎないと定義され、成功に不可欠な要素として3つの特徴を挙げられました。

1.客観性: 災害の物理現象や社会ルールといった客観的な知識を持ち、「根拠のない思い込み」を排除し、適切なリスクを認知すること。

2.地域性: 地域によって災害リスクや対策が大きく異なるため、地域住民が主体となって特性を理解し、優先順位をつけて対策を行うこと。

3.戦略性: 個別トピックに留まらず、事前対策から復興までを見据え、多様な解決策を組み合わせて問題を解決する戦略が必要であること。


防災に絶対的な正解はないため、「自分たちで考え、自分たちなりに備えること」が重要であり 、住民・専門家・行政が連携し、地域の潜在力を継続的に引き出すことが求められています。


<活動発表>
宮城県石巻市 石巻市防災士協議会 井上 達彦 氏
(令和6年度防災まちづくり大賞 日本防火・防災協会会長賞 受賞)


【活動発表】井上氏

「自助・共助・協働」を原則とした宮城県内初の防災士ボランティア団体で、東日本大震災の教訓を活かし、行政や地域と連携し、防災士の知識・技能を支援し、減災のための活動を行っています。

主な活動内容は、段ボールベッドの組立体験、災害伝言ダイヤル171体験を含む学校での防災授業、避難所開設訓練、防災フェア、FMラジオ番組や広報誌による情報発信など、市民参加型の多岐にわたる地域防災力の向上に向けた取り組みなどについて、活動発表をしていただきました。


新潟県新発田市 新発田市教育委員会 生涯学習課 土田 道代 氏
(令和6年度防災まちづくり大賞 日本防火・防災協会会長賞 受賞))


【活動発表】土田氏

閉校した小学校を改修した青少年宿泊施設を防災教育の拠点とし、市内全小学校を対象に防災キャンプを実施しています。これは、中越地震などを契機に高まった地域ぐるみの防災教育の必要性に対応するため、避難所設営や水消火器体験などを通して、「自分の命は自分で守る」知恵を育むことを目的に、防災を教育題材に位置付け、「自ら学び自ら考える力」を養う探究・問題解決型学習の場を提供している。

活動を継続のため、教員研修会や事例集作成、多様な講師・連携先との協力体制を構築し、親子キャンプやスタディツーリズムの活動事例などを発表いただきました。


鳥取県米子市 三柳団地2区自主防災会 統括防災部長 稲田 浩一 氏
(令和6年度防災まちづくり大賞 消防庁長官賞 受賞)


【活動発表】稲田氏

「誰一人取り残さない」避難を目指すS.E.E.防災プロジェクトを推進し、高齢化が進む中、平日昼間の災害時に在宅者で要支援者を「支え愛」できるよう、防災活動を「堅苦しくなく、楽しめる」ものにすることを重視。

ふれあいサロン連携の遠足や合同訓練を通じ、多世代・障がい者(インクルーシブ防災)の交流を深め、信頼関係を「共助の絆」に変えて「住民同士のコミュニケーションは最も優れた防災装備」を合言葉に、楽しく活動をしている内容について、発表していただきました。


<講演>
「地域防災力の充実強化に向けた『自主防災組織に関する取組」』」
総務省消防庁 国民保護・防災部 地域防災室長 籏野 敏行 氏


籏野氏による講演

自主防災組織は地域防災力の要となっており、阪神・淡路大震災の教訓から、大規模災害では公助(行政)に限界があり、自助・共助が極めて重要と示されています。実際、同震災では救助者の約8割が自力や近隣住民によるものでした。

自主防災組織は、災害対策基本法等に基づき、平常時の防災知識の普及・訓練、災害時の初期消火・避難誘導などを担う中核的な役割を果たすことが期待されている、などの内容でご講演いただきました。

-第2日目-
<グループ討議>

5つのグループに分かれて自己紹介を踏まえ、組織の現状や課題、それに対するグループ共通の課題を導き出し、解決に向けて議論するという、グループ討議が行われました。


グループ討議の様子(1)

グループ討議の様子(2)

『各グループ代表者により討議結果発表』

各グループで討議された内容について代表者の方に結果発表を行っていただきました。


討議結果報告の様子(1)

討議結果報告の様子(2)

第Aグループ

自主防災活動では、老若男女が参加するコミュニティーづくりが重要課題であり、「防災体操」やポイント付与などの「楽しさ」や「ご褒美」を導入することで参加率の向上を図る取り組みが紹介されました。

報酬に頼らない自発的・主体的な活動参加が目標であるべきだという意見がありました。

先進的な地域では、消防団や自治会、小学校と連携したハザードマップ作成コンテストなどを通じ、「防災×楽しさ」で人々を集め、既に「防災でまちづくり」を実現しています。

一方で、行政による取り組みの格差や、活動の継続性を担保する後継者育成が今後の大きな課題とされました。また、大規模災害時には自主防災組織だけでは限界があるため、自助の強化、共助の連携・向上を目指し、行政以外の多様な組織との連携が必要であるという点が、今後の宿題として提起されました。

第Bグループ

大規模地震時の課題として、避難所の開設・運営と他組織との連携、そして住民意識の変革が議論されました。

避難所運営については、発生後3時間以内の開設、1週間分の携帯トイレ備蓄、3日間の温かい食事提供といった具体的な目標が挙げられました。特に、性被害防止のため、委員会への女性参画と「誰も加害者・被害者にならない」というポスター掲示による意識啓発の重要性が強調されました。

連携面では、多数の防災士とコミュニティー、LINEなどを活用した連携強化が提案されました。また、専門家によるまち歩きや、中学生へのヒアリングを通じた危険箇所の確認と防災マップへの反映が、地域特性を捉えた防災に有効とされました。

住民意識については、災害を「他責事項」ではなく「自責事項」として捉える変革が必要であり、「できる人が、できる時にやる」という、究極のおせっかい精神を掲げて活動に参加を促すことが提唱されました。

第Cグループ

本グループでは、大型マンション住民が多い地域の活動を中心に議論されました。

最大の課題は、自治会(=自主防災組織)の会長が短期間で交代することによる活動の継続性の難しさです。また、在宅避難者が多い地域では、安否確認と支援の方法が論点となりました。

避難行動要支援者名簿の共有状況や運用には地域差があり、在宅避難者カードの責任者による運用が提案されました。都県からの防災助成金の効果的な活用方法の検討も重要です。

一方で、毎月の訓練の継続や、全住民へのネームプレート配布による日常的な挨拶運動の促進(人とのつながり強化)などの成功事例が共有されました。

今後は、他の自治会やマンション管理組合、小学校との連携が重要であり、役員自身の意識向上が求められます。まとめとして「備えは物だけでなく、心と行動の準備であり、防災は日常の人とのつながりから生まれる」とグループ内から意見がありました。

第Dグループ

自主防災組織の活動は継続が難しく、高齢化、なり手不足、女性防災士の不足が深刻な課題です。今後は、外国籍住民や若者など、多様な人々の協力が求められます。

2019年台風19号の際、避難所開設で発電機不備や物資配布の遅れが発生し、防災士の協力が不可欠でした。この初動対応の教訓から、大規模災害への対応力強化には、個人情報の課題を乗り越えて、多岐にわたる団体との継続的な連携・協力体制を構築することが必須であると提言されました。また、組織内の体制強化や防災士の養成を進める必要性について意見がありました。

第Eグループ

自主防災組織の最大の課題として、地域ごとの災害特性(河川氾濫、土石流、原発等)に応じた防災訓練の実施が必要である点が挙げられました。防災訓練は、消火や避難などの「点」の活動から、訓練を積み重ねて「線」、そして「面」として広げ、全体的な災害対応力を高めることが提唱されました。

また、災害時に不利な状況に置かれやすい高齢者や外国人への対応が重要であり、名簿作成に加え、会議だけでなく日常の世間話や家族内のコミュニケーションを通じて情報を得ることが、地域の見守りに不可欠であるとされました。

さらに、防災活動に若い世代や女性を取り込むため、防災キャンプや、防災にスポーツや運動会などの別の行事を組み合わせたイベントを実施し、防災を堅苦しくないものにすることが有効と提案されました。

最終的に、これらの活動を通じて、自助、共助、公助の「三位一体」による地域防災力の向上が極めて重要であると結論付けられました。

<修了証授与と閉会の挨拶>


修了証授与

髙尾理事長による閉会の挨拶

研修会参加者の代表者に対し、秋本会長より修了証が授与されました。続いて、髙尾和彦 理事長より、研修会へのご参加に対する御礼と、日頃から地域で活躍されている自主防災組織の皆様へ感謝を述べ、2日間にわたる研修会を終了いたしました。

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