地域における自主防災組織活性化のために活躍できる人材の育成と組織づくりを積極的に推進できる人材の養成を目的に、(財)日本防火協会と京都府との共催で「平成21年度京都府自主防災組織リーダー研修会」を以下のとおり開催しました。
【日程】平成21年11月7日(土)から8日(日)の2日間(1泊2日)
【会場】龍谷大学セミナーハウスともいき荘(京都市上京区)
木村所長による「災害避難所事情」 京都府では、平成21年4月に戦略的地震防災対策指針を策定し、平成30年度に自主防災組織の組織率を100%にすることを目標に自主防災組織の育成に努めています。今年は、京都府内において15名の犠牲者を出した平成16年台風23号災害、また、新潟・福島豪雨、新潟県中越地震から5年の節目、さらには、平成22年1月には阪神・淡路大震災から15年を迎えることから、その際に課題となった避難所をテーマとした研修を行いました。
1日目は、府危機管理・防災課 今井真二課長の挨拶の後、(株)社会安全研究所の木村拓郎所長に「災害避難所事情」と題し講義をいただき、研修会が始まりました。新潟県中越地震や阪神・淡路大震災の避難所の写真などを交えて、避難所の現状や課題、避難所運営の心構えなどについてお話しいただきました。
毛布を使用してガウンづくり 午後からは、日本赤十字社京都府支部から4人の講師を迎えて、避難所における高齢者生活支援講習に取り組みました。講師の前田ゆかり氏から被災した高齢者の心理や避難所での生活についての講義を受けた後、スーパーのレジ袋を使用したホットタオルの作り方や段ボール箱に大きめのゴミ袋をかぶせた足湯のしかたを学び、実技として床に座っている高齢者の立ち座りの支援のしかたや、毛布を使ったガウンの作り方を学びました。最後に避難所けあの実践として参加者全員で歌を合唱しました。
次に、「地域の防災活動」と題し、京都市上京区で避難所運営マニュアルを作成された成逸学区自主防災会の牧本晴男会長を講師に迎え、自主防災会の概要や避難所運営マニュアルを作成された経緯、さらには防災訓練について講義をいただきました。電気をつけない夜間避難訓練や今年行われた避難所受付訓練、仮設トイレ設置訓練などについて説明を受け、引き続き、自主防災組織の訓練や運営について意見交換を行いました。
笠原事務局長による「自主防災組織の資機材」 2日目は、京都地方気象台 北野昌寛予報官から「気象の見方について」講義を受けました。気象台が発表する防災気象情報の種類とその発表のタイミング、平成22年5月下旬頃を目途に実施される警報注意報の発表区域の変更(市町村単位で発表予定)などについて解説いただきました。
次に、NPOコメリ災害対策センター 笠原治清事務局長から「自主防災組織の資機材」をテーマに講義をいただきました。NPOコメリ災害対策センターは新潟市に本社を置く(株)コメリの支援を受けて運営されていること、新潟県中越地震、新潟・福島豪雨、新潟中越沖地震等の際に県から支援要請のあった物資の内容の紹介があり、自主防災組織の方々が避難所から必要な物資を要請する方法として、その物資の使用目的、必要数量をはっきり記載するようアドバイスを受けました。
その後、同センターの古澤氏から新潟・福島豪雨の際に、自宅が浸水被害を受けた体験談をうかがい、浸水により避難できなくなり、食料がなくなっていく体験や備蓄しておくべき物品等の助言をいただきました。
全員参加によるワークショップ 午後からは京都大学防災研究所 牧紀男准教授を講師に迎え、「避難所運営・開設について考える」をテーマに、参加者、スタッフ全員参加によるワークショップを行いました。
6つのグループに分かれ、さらに2人1組となって避難所での受付名簿を作成する体験や各グループ内で避難所リーダー、必要な班編制、その班の用務について検討を行い、最後にグループの代表から検討結果の発表が行われました。
修了式では、(財)日本防火協会の佐藤幸男課長から修了証が手渡され、2日間の研修を終えました。
本研修会では、講義をはじめ、実技、交流会、ワークショップを通じて、自主防災組織のリーダー同士の話し合い、交流する場を設けました。自主防災組織リーダーの皆様が、本研修の成果を今後の地域での活動に生かしていただくとともに、災害に備えて、行政や学校等の施設管理者などと連携して地域防災力の向上に取り組んでいただくことを期待しています。