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2015年6月

2.風水害に対する備え

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総務省消防庁 防災課

 我が国では毎年、台風や梅雨前線などの影響により多量の降雨があります。昨年は、台風第8号の影響により、全国的に多数の浸水被害が生じたほか、長野県南木曽町においては、土石流が発生して1名の方がお亡くなりになりました。8月には、近畿、北陸、東海地方を中心に大雨となり、広島県広島市では、大規模な土砂災害が発生し、死者74人(広島市安佐南区68人、安佐北区6人)、負傷者69人(重傷47人、軽傷22人)と甚大な被害が生じました。
 また、8月の台風第12号及び台風第11号により、北日本から西日本の広い範囲で大雨となり、特に四国地方では、降り始めからの雨量が1,000mmを超える状況となったほか、10月には台風第18号、第19号が日本列島に上陸し、全国各地において、土砂崩れや浸水被害等が生じました。

洪水
 流域に降った大量の雨水が河川に流れ込み、特に堤防が決壊すると、流域では大規模な洪水被害が発生します。また、短期間に局地的に激しい雨が降り注いだ場合には、山間部や都市部の中小河川に一気に流れ込み、平常時には川遊びができるような穏やかな河川が増水して勢いを増し、氾濫して流域に甚大な被害をもたらすこともあります。

土砂災害
平成26年8月の台風第11号による浸水被害(高知県四万十町 内閣府提供)
平成26年8月の台風第11号による浸水被害
(高知県四万十町 内閣府提供)
 大雨により、地中に含まれる水の量が多くなると土砂災害が発生しやすくなります。大雨のときには、土石流、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害に厳重に警戒する必要があります。
 土砂災害から命を守るためには、日頃から住民の皆様が自らお住まいの地域について「土砂災害(特別)警戒区域」に指定されているかなど、土砂災害の危険性について正しく認識していただくとともに、避難場所・避難経路等をあらかじめ確認しておくようにすることが非常に重要です。

早めの避難が命を救う
 風水害による人的被害を減らすには、早めの避難が欠かせません。市町村から避難勧告・指示などの発令があった場合は、すぐに安全な場所に避難しましょう。また、気象情報や市町村からの情報等をチェックし、少しでも危険と思われる場合は速やかに避難することが重要です。
 平成25年8月から「特別警報」が運用されていますが、特別警報が発令された場合、お住まいの地域は数十年に一度しかないような非常に危険な状況にあります。周囲の状況や市町村から発表される避難指示・避難勧告などの情報に留意し、ただちに命を守るための行動をとる必要があります。
 危険が迫る前に避難を完了しておくことが一番ですが、暗い時間帯や、雨が降る中、避難をしなければならない場合も考えられますので、避難所の位置や、避難所までの道筋を日頃から確認しておくことが重要です。
 浸水等により避難所までの歩行等が危険な状態になった場合には、生命を守る最低限の行動として、自宅や隣接する建物の2階以上へ緊急的に避難するなど、臨機応変な対応をとる必要があります。

災害による被害を減らすためにできること
 災害による被害を最小限にとどめるためには、地域住民の皆さん一人ひとりが災害に対して日頃から備えておくことが必要です。
平成26年8月の広島市土砂災害(内閣府提供)
平成26年8月の広島市土砂災害
(内閣府提供)
 また、災害時の避難において支援を要する方々が迅速・安全に避難できるように、いざという時に誰が支援し、どの段階でどうやって避難するかなど、具体的な避難支援計画を定めておくことが重要です。
 都道府県や市町村では、総合防災訓練や防災に関する講演会・展示などのイベントを実施しています。また、地域の自主防災組織でも防災訓練が実施されていますので、こうしたイベントや訓練にぜひ参加して、いざという時に取るべき行動などを今一度確認してみてください。

(総務省消防庁「消防の動き」2015年5月号より)

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