平成27年6月25日(木)・26日(金)の2日間にわたり「第18回市町村女性(婦人)防火クラブ幹部研修会」を、ルポール麹町にて開催し、全国から約90名の女性防火クラブ員の方々に参加していただきました。
この研修会は、団体相互の交流と活動内容等の情報交換を県レベルから市町村レベルにまで深く掘り下げ、災害等の有事に際し地域間組織の一層の充実・強化・連携を図り、連絡応援体制の構築を目的に行われています。
1日目
秋本会長による挨拶 (一財)日本防火・防災協会 秋本敏文会長より、開会の挨拶をいたしました。
「日頃からお忙しい中、それぞれの地域でクラブ員として活動してくださいますことを心より感謝申し上げます。一昨年制定された「消防団を中核とした地域防災力の充実強化」に関する法律の中で、「女性防火クラブ」という言葉が法律の中で始めて位置付けられました。女性防火クラブの存在が法律で記述されたことで、女性防火クラブの重要性について謳われるようになりました。
近年各地で災害が多発しています。災害を止めることはできないが、被害を最小限にとどめることはできる。日頃地域コミュニティで日頃から避難経路等を話し合い、いざとなったら皆で助け合う。そういった活動がこれからますます大切になってくると思います。また、災害は人ごとではありません。明日、自分に地域に起こるかもしれない。そのために日頃から備えておかなくてはならない。
本日の研修会では、日頃地域で活動されている全国の幹部の方がお集まりになっています。情報共有の場として、今回の研修会が皆様に役立てば幸でございます。」
消防庁 髙尾次長『消防庁 髙尾次長による挨拶』
来賓挨拶では、総務省消防庁 髙尾和彦次長より挨拶をいただき、「女性防火クラブ員の皆様には日頃から、地域での防火思想の普及啓発、住宅用火災警報器の設置促進、更には初期消火訓練等、地域の安全安心を守るために活動していただきまして感謝を申し上げます。
また震災等で避難所運営、炊き出し、応援など貢献をしていただいておりますこと心から敬意を表するとともに、深く感謝申し上げます」と述べられました。
『相川康子氏による講演 「地域防災に女性の視点を」』
(特活)NPO政策研究所専務理事、相川康子氏から「地域防災に女性の視点を~女性防火クラブに求められる役割~」と題し、講演を行っていただきました。
相川氏による「地域防災に女性の視点を」 「災害は、いつ起きるかわからない。そしてすべての人が当事者になる。これまでの災害対応=男の仕事・専門職の仕事、という固定的な考えを改め、女性を含む地域住民を防災の担い手にする方策を考えるべきである。そして「防災」には、「災害前からできること(減災)」、「災害時にすべきこと(緊急対応)」、「発災後にすべきこと(復興)」トータルに考える必要がある。
そのなかで女性防火クラブの皆様には、日頃地域に密着して活動をされていることから、地域社会へ防災に対する効果的な働きかけを積極的に推進していただきたい。そのためには、自治体の防災施策への参画や、防災計画や避難所運営マニュアルへの提言を進めるべき。」など述べられました。
続いて、体験発表では女性(婦人)防火クラブ員による3名の発表が行われました。
クラブ名 | 発表者 | 発表内容 |
---|---|---|
岩手県宮古市婦人防火クラブ連合会 | 盛合敏子会長 | 「今・・・私ができること そのとき・・・私がすること」 東日本大震災発生時の街の様子や避難時の様子。その後避難所において炊き出しを行った様子について |
静岡県磐田市女性防災クラブ | 木村淑恵会長 | 「ママ目線で楽しく学ぶ磐田市女性防災クラブ」 店舗や街頭での防火広報の様子や、児童に正しい花火の遊び方教室の様子。また、日頃備えておくと便利な防災グッズの紹介など。 |
長崎県長崎市葉山第6婦人防火クラブ連絡協議会 | 小綱光子会長 | 「長崎市における婦人防火クラブの火災予防活動について」 斜面地住宅密集地である長崎市内での防火・防災訓練の様子。小・中学生、保護者、自治会合同訓練の様子など。 |
盛合会長
木村会長
小綱会長
河合氏による講演
「消防防災行事と当面の課題」『総務省消防庁 国民保護・防災部 地域防災室 河合室長による講演「地域防災力の充実強化への取組」』
河合宏一室長より、災害情報の住民への伝達手段の設備状況や、災害時避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針の概要や取組状況など。
消防団や女性防火クラブや幼少年消防クラブ等の自主防災組織の育成事業や活動事例、またクラブの現況について。
また、年々全国で多発している大雨等による土石流災害の被害状況等や緊急周知の実施状況等について、ご講演をいただきました。
中村講師による「避難所運営訓練」2日目
防災図上訓練指導員 中村敏一講師による「避難所運営訓練(HUG)」を10グループに分かれて行いました。
HUGとは、平成19年に静岡県が開発し、大地震発生時等の避難所運営を皆で考えるため避難者の年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。
HUG風景(1)
HUG風景(2)
参加者は卓上の見取り図にカードを並べ、避難者に対する対応や要援護者、ペット、トレイの問題等にグループで話し合いながら避難所運営訓練を進めていました。
その後、訓練の結果や質疑応答が行われました。
(公財)日本消防協会 小鷹幹男 年金共済部主幹より婦人福祉共済等の事業説明が行われた。
その後、当協会佐野忠史理事長より代表者へ修了証を授与しました。
理事長による閉会挨拶では、「女性防火クラブは世界を見渡しても女性によるこのようなボランティア活動団体、これだけの規模で行われている国は類を見ないと思われます。皆様方にはこれからも地域における防火防災活動。更に応急手当の普及、避難所での運営や生活支援など活動の手を広げていただきまして地域防災力の向上に一層大きな役割を果たしていただきたいと思っております。」と述べ、2日間の研修会を終了しました。
佐野理事長から修了証授与
全国から約90名が参加