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2018年8月

3.住民自らによる災害への備え

総務省消防庁 地域防災室

 日本列島は、その位置、地形、気象等の条件から、地震、台風や梅雨前線による集中豪雨、大雪等による自然災害が発生しやすい環境にあります。
 昨年7月には、九州北部地方で記録的な豪雨が発生し、緊急消防援助隊が出動する大きな災害となりました。
 また、南海トラフ地震、首都直下地震など大規模地震の発生も懸念されており、このような事態が発生すると、地震の揺れや津波などによって甚大な被害が広範囲にわたって発生することが予測されています。
 大規模災害時には被害が大きくなればなるほど、消防などの公的機関による消火、救助、救急などの活動が追いつかないことが想定されます。例えば大地震が発生し、消防車が全て出払い、がれきで道路が塞がれ、生き埋めになっている人や負傷者が大勢いたら・・・。そこで大きな役割を果たすのが、地域住民自らによる防災活動です。
 地域住民による防災組織として、自主防災組織があります。自主防災組織とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚と連帯感に基づき、地域住民が自主的に結成する組織のことで、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。自主防災組織は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機に、その重要性が見直され、全国各地で組織の結成・育成が積極的に取り組まれています(平成29年4月1日現在、16万4,195団体)。

連携による活動の活性化
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携し、また、消防団、学校、企業など地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることが出来るようになります(図)。
 ここで、自主防災組織が学校や消防団など様々な組織と連携して防災のまちづくりを行っている岩手県一関市の中里まちづくり協議会の取組を紹介します。


(図)様々な関係機関との連携により期待できること
中里まちづくり協議会は、一関市内の各行政区のほか地域内18団体で構成され、各団体と連携しながら「防災活動を基軸としたまちづくり」を推進し、活動を展開しています。
 東日本大震災後、災害時の対応を憂慮していた行政区長や自主防災組織代表者が協議した結果、それぞれ行っていた防災訓練を共催実施することとなり、以後、教育機関や消防団など様々な組織で構成される実施本部を設置し、現在では中里まちづくり協議会として、活動を継続しています。防災マップやハンドブックの作成や、避難所の設置運営訓練などの活動のほか、運動会を利用して応急処置訓練を披露するなど、地域で連携して持続することができる工夫がされています。

中里まちづくり協議会による運動会での
応急処置訓練披露の様子
(出展:第22回防災まちづくり大賞)
このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。
 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLからご覧いただけますので、ぜひ参考にしてください。

●「自主防災組織の手引」(平成29年3月改訂)
https://www.fdma.go.jp/html/life/bousai/bousai_2904.pdf

(総務省消防庁「消防の動き」 2018年7月号より)

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