１．台風による被害
日本には毎年7月から10月を中心に台風が上陸し、土砂災害や河川の氾濫等により、大きな被害が発生しています。
〔大雨による被害〕
台風やその周辺部では、激しい雨が長時間にわたって降り続くことがあります。また、台風が日本から遠く離れた南の海上にあっても、日本付近に前線が停滞している場合、暖かく湿った空気が流れ込み大雨となることがあります。このため、がけ崩れや土石流、地すべり、河川の氾濫が発生し、私たちの生命が脅かされることがあります。
令和元年東日本台風による浸水被害 宮城県丸森町
(山形県消防防災航空隊提供）
令和元年東日本台風（台風第19号）では、関東地方や東北地方の太平洋側を中心に、土砂災害や河川の氾濫等により、100名を超える死者・行方不明者が発生する等、甚大な被害が生じました。
〔暴風による被害〕
台風の周りでは強い風が吹いています。平均風速15～ 20ｍ/sの風であっても、歩行者が転倒したりすることがあります。さらに風が強くなると、物が飛んできたり、建物が損壊したりするようになり、平均風速40ｍ/sを超えると住家が倒壊することもあります。
令和元年房総半島台風（台風第15号）では、千葉市で最大瞬間風速57.5ｍ/sを観測するなど各地で暴風となり、関東地方を中心に住宅約74,000戸が損壊するといった被害が発生しました。
また、倒木や飛来物により、多くの電柱が折損する等の被害が発生し、大規模な停電が発生しました。
台風の周辺では、竜巻が発生することもあり、家屋の倒壊や車両の転倒、飛来物の衝突等により被害をもたらすことがあります。
〔高潮・高波による被害〕
台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上げられます。そこにさらに強い風が吹き寄せて、大きな高潮・高波災害が発生することがあります。平成30年台風第21号では、大阪湾を中心に過去最高潮位を超える値を観測する等、顕著な高潮になり、関西国際空港の滑走路が浸水する等、大きな被害が発生しました。
２．台風への対応
（１）事前の備え
家庭においては、台風に備えて、次のような準備を十分にしておきましょう。
- 窓はしっかりと鍵をかけ、必要に応じて補強する。
- 風で飛ばされそうな物は飛ばないよう固定し、格納できるものは家の中へ格納する。
- 避難生活や停電に備え、食料、簡易トイレ、マスク、ハンディライト、ラジオ等を入れた非常用持ち出し袋を用意する。
そして、一人ひとりが、どのような避難行動をとれば良いか、あらかじめ理解しておくことが大切です。日頃からハザードマップを確認するとともに、テレビ、メール等の様々な手段を通じて伝達される情報をどの手段から入手するか、入手した後、自らがどのような避難行動をとればよいかなど、災害時にとるべき行動を判断するための「避難行動判定フロー」（注１）をあらかじめ確認しておきましょう。加えて、いち早く身の安全を確保できるよう、災害の種別ごとに指定されている指定緊急避難場所の位置や、そこまでの避難経路について調べておくことも重要となります。また、安全な親戚・知人宅やホテル・旅館なども避難先になり得ますので、普段からどこに避難するかを決めておきましょう。
（２）迅速な避難
住民がとるべき行動や避難情報は５段階の警戒レベルに区分して提供されており、市町村から警戒レベル４の避難指示や警戒レベル３の高齢者等避難が発令された際には速やかに避難行動をとる必要があります。強い降雨を伴う台風が、立退き避難が困難となる暴風を伴い接近・通過することが予想される場合には、気象庁などから出る雨や河川水位の防災気象情報を参考としながら、避難指示等が発令されていなくても自ら避難の判断をすることが非常に重要となります。（注２）
（注１）図：避難行動判定フロー
(掲載先：https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/index.html））
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（注２）警戒レベルと住民が自ら行動をとる際の判断に参考となる防災気象情報
（総務省消防庁「消防の動き」 ２０２２年７月号より）
