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2023年8月

4. 住民自らによる災害の備え-総務省消防庁

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総務省消防庁 地域防災室

 日本列島は、その位置、地形、気象等の条件から、地震、台風や梅雨前線による集中豪雨、大雪等による自然災害が発生しやすい環境にあり、毎年のように、台風やその影響による集中豪雨等の幾多の自然災害により多くの被害が発生しています。
 近年、気候変動の影響等により、既存の想定を上回る災害の発生や、いつ起きてもおかしくないとされる南海トラフ地震、首都直下地震等の大規模地震の切迫性に加えて、火山災害や雪害といった、過去の災害教訓を踏まえると、行政による対応のみでは被災者の救助や消火活動等に限界があるため、住民自身・相互の活動体制をいかに整えるかが課題となっています。
 そこで、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、自主的に結成された組織が自主防災組織です。平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機にその重要性が見直され、各地で組織の結成・育成が積極的に取り組まれています(令和4年4月1日現在、16 万6,833 団体)。自主防災組織は、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時には初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視等を行います。



図 様々な地域活動団体との連携とそのメリット
連携による活動の活性化
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携し、また、消防団、学校、企業など地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることができるようになります(図)。
 ここでは、「第27 回防災まちづくり大賞」において、総務大臣賞を受賞された広島県広島市の落合学区自主防災会連合会の取組を紹介します。

取組の背景
 本連合会は、平成26 年8月の「広島豪雨災害」を契機として、災害による犠牲者、特に関連死をゼロにしたいとの思いから、落合学区の各種団体や事業所等と連携し、安全で安心な地域を作るために活動してきました。

取組① 防災人づくり
 本連合会では、防災士に加え、防災活動に意欲のある方により構成された「防災委員会」を組織し、落合小学校4年生~6年生に対し、防災学習を行うことで、「キッズ防災士」を養成しています。これらの防災教育の結果、落合小学校の卒業生が資格を取得し、中学生防災士として活躍しています。

取組② 防災人づくり
 地域独自の「安否確認システム」を学区全体に導入し、災害時の避難者名簿の作成や避難所における避難者の出入り状況の確認を迅速化することや災害弱者の支援体制を強化することに取り組んでいます。このほか、避難所や避難者の送迎に関して、地域の企業等と協定を締結するなど、地域の連携を強化しています。これらの取組の結果、近隣の自主防災会から「連携したい」という要望が寄せられ、学区を越えた広い地域での防災活動が行われるようになりました。

落合小学校防災教育(防災工作)
 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。
 防災まちづくり大賞を受賞した団体の取組については、「防災まちづくり大賞受賞事例集」にまとめています。
 また、自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。それぞれ、下記のURLからご覧いただけますので、ぜひ参考にしてください。

●第27 回防災まちづくり大賞受賞事例集(令和5年3月)
https://www.fdma.go.jp/mission/bousai/ikusei/items/ikusei002_08_jirei27th.pdf

●自主防災組織の手引(令和5年3月改訂)
https://www.fdma.go.jp/mission/bousai/ikusei/items/bousai_R5_3.pdf


(総務省消防庁「消防の動き」 2023年7月号より)

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