(1) 地震火災とは
1923 年の関東大震災では、かまどや七輪等からの出火、1964 年の新潟地震では、ガス・石油機器関係からの出火が多く見られるなど、使用している火気器具や燃料等により、その出火原因も変化しています。その後、阪神淡路大震災以降、近年の大規模地震においては、通電火災等の電気に起因する火災が多く見られるようになっています。
(2) 地震火災を防ぐための出火防止対策
地震火災を防ぐための主な出火防止対策について地震前後の時系列に応じて紹介します。
① 事前の対策(日頃の備え)
住まいの耐震性を確保する
家具等の転倒防止対策(固定)を行う
ストーブ等の暖房機器の周辺は整理整頓し、可燃物を近くに置かない
安全装置の付いた燃焼機器・家電製品等を使用する
住宅用分電盤の機能充実(漏電ブレーカー、コード短絡保護機能等)
感震ブレーカーの設置
② 停電時・避難時の対策(地震直後の対応)
停電中は家電製品のスイッチを切り、電源プラグをコンセントから抜く
停電中に自宅から離れる(避難する)際は、ブレーカーを落とす
③ 停電からの復旧(再通電)時の対策
家電製品、配線やコードが破損・損傷していないか、燃えやすいものが近くにないかなどの安全を確認してから家電製品を使用する
壁内配線の損傷や家電製品の故障等により、再通電後、しばらく経ってから火災になることがあるため、再通電後は余震に注意しつつ、家の中に留まり、煙の発生や異臭などの異常を発見した際は、直ちにブレーカーを落とし、消防機関に連絡する
(3) その他の対策(火災の早期覚知、初期消火)
住宅用火災警報器の設置
住宅向けの消火器・消火用具(エアゾール式簡易消火具)の設置
(4) まとめ
阪神・淡路大震災における初期消火の実施率は全体の約半数、そのうち初期消火に成功したのは約4割となっています。初期消火の方法別に見ると、消火器による初期消火が最も成功率が高く、成功率は5割となっています。もし仮に、消火器により初期消火が100%実施された場合、単純計算で出火件数は半減し、被害を大幅に減少させることができます。
内閣府の試算によると首都直下地震による焼失棟数は、電気火災対策が講じられた場合は1/2 に、さらに初期消火成功率が向上することで、1/20 程度まで減少させることができるとされています。
消防庁では、毎年、春と秋の全国火災予防運動を通じ、「地震火災を防ぐポイント」等を活用し周知を図っており、今後も、火災予防に取り組み、地震時の火災被害の軽減に取り組んで参ります。
(総務省消防庁「消防の動き 2023年10月号」より)