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2024年6月

1. 風水害に対する備え -総務省消防庁

総務省消防庁 防災課


佐賀県唐津市の被害状況(唐津市より提供)
 我が国では、毎年、台風や梅雨前線等の影響による多量の降雨があり、全国各地で洪水や土砂災害等の風水害が発生しています。
 昨年は、日本付近に停滞した梅雨前線により、福岡県、佐賀県、大分県で6月28日から7月16日の総降水量が1,200ミリを超えるなど、各地で大雨となりました。この大雨により、土砂災害や河川の氾濫、低地の浸水などが発生し、道路やガス、水道等のライフライン、農業や観光業等地域の産業に大きな被害をもたらしました。


洪水

 流域に降った多量の雨水が河川に流れ込み、特に堤防が決壊すると、大規模な洪水被害が発生します。
 また、上流で増水した水が下流に到達するまでに時間差があるため、雨が降り止んだとしても洪水は発生します。


土砂災害

 土砂災害とは、大雨や地震などが引き金となり、山や崖が崩れたり、土砂が雨などの大量の水と混ざり合って一気に流れたりする自然災害です。道路の陥落や道路への土砂の崩落、橋梁の崩落などにより多数の孤立地域が発生するおそれがあるほか、停電、断水等のライフラインへの被害や鉄道の運休等の交通障害が発生するなど、住民生活に大きな支障が生じます。


局地的な大雨による災害

 近年、局地化、集中化、激甚化した降雨により多大な被害が生じています。また、都市化に伴い、中小河川の急な増水や氾濫による床上・床下浸水等の被害、地下空間への浸水害、アンダーパス(※)への浸水による車の立ち往生等の被害が生じる事例が多く見受けられます。
※アンダーパス:交差する鉄道や他の道路などの下を通過するために掘り下げられている道路などの部分。周囲の地面よりも低くなっているため、大雨の際に雨水が集中しやすい構造となっています。


早めの避難が命を救う

 風水害では、逃げ遅れにより甚大な被害が発生します。逃げ遅れが起きるのは、危険が迫っていてもなかなか実感ができず、自分は被害に遭わないだろうという思い込みに陥ってしまうからです。「まだ避難しなくても大丈夫」ではないのです。また、「近所の人が誰も避難していない」からではなく、自ら積極的に避難することが重要です。各自治体が公開しているハザードマップ等を普段から確認し、自らが、いつ、どこに避難するか、事前にルールを決めておきましょう。


最近の災害を踏まえた動向

 令和3年7月3日に静岡県熱海市で発生した大規模な土石流災害では、個人情報保護条例との関係を整理した上で、積極的に氏名等公表を行い、広く情報を募った結果、本人や知人から連絡があったことで救助対象者の絞り込み、救助活動の効率化に繋がりました。
 その後、個人情報を取り巻く環境が変化する中で、災害時の初動対応や被災者等へのきめ細かな支援等のために、内閣府の検討会において防災に係る個人情報の活用のあり方についても再検討がなされ、令和5年3月には、「発災当初の72時間が人命救助において極めて重要な時間帯であるため、積極的な個人情報の活用を検討すべき」旨などを規定した「防災分野における個人情報の取扱いに関する指針」が公表されました。
 また、気象庁では、「線状降水帯」によって引き起こされる大雨災害が多発していることを背景として、令和4年6月から、線状降水帯による大雨の可能性を半日前から伝える予測情報の発表を始めており、早めの備え、早めの避難に繋がることが期待されています。

(総務省消防庁「消防の動き」 2024年5月号より)

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