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7-3 災害時要援護者のケア訓練の実際



災害時要援護者のケア訓練には、日常における関係づくりと情報の把握、災害時の避難誘導支援・安否確認、そして避難生活の支援のしくみと実際の対応方法の、3つの場面を考える必要があります。

1.災害時の安否確認、避難誘導
避難誘導にあたっては、安否確認体制の確立が欠かせません。ご近所の中で、普段からその障害者や高齢者の方などと自然にあいさつできる関係を築きつつ、災害時には複数の住民が安否確認にあたることができる体制をつくっていくことが重要です。なお、避難の際の安否確認は、避難時のみ1回行うのでなく、必要に応じて数回行う必要があります。(→『日常活動編』「地域として取り組むべき対策」「避難誘導訓練−地域の実情に合わせて」参照)

2.避難生活における支援体制づくりと実際の対応
災害時要援護者の避難生活を支えるためには、様々なサポート体制が必要ですが、避難所の運営体制の中に災害時要援護者支援のしくみをきちんと組み込むことで、迅速な対応が可能となります。いざというときに災害時要援護者をどの場所へどのように受け入れるのか、専門家やボランティアの連携をどううまく進めるのかといったことを、具体的に話し合うようにしましょう。また、自宅で避難生活を送る災害時要援護者についても、避難所などの救援拠点を核にして支援していくしくみづくりが求められます。

●身体的な配慮とケア体制の確立(→『日常活動編』「避難所での災害弱者支援体制」参照)
●食生活への配慮(→「給食給水訓練 -災害時の生活維持-」参照)
●こころのケア(精神的な悩みの相談)
災害時は、日常とまったく違った状況におかれ、ハンディのない住民でも精神的なダメージを受ける可能性が大いにあります。ましてや災害時要援護者の方やその家族は、生活上の困難や、周囲への気づかい、今後の生活への不安など、様々なストレスを抱える可能性があります。子どももまた、様々な不安やストレスを感じている場合があります。緊急的な事態を乗り越えたあとは、介護者をも含めた、精神面でのサポートについても取り組むことができるようにしましょう。もちろん、専門家の支援も欠かせません。必要に応じて、精神科医、臨床心理士、ソーシャルワーカーなどの協力を得ることが重要です。
●情報の伝達
視力・聴力・記憶力・体力が減退している高齢者や、障害者・外国人など災害時要援護者の方は、情報を的確に受け止めることができない可能性があります。情報の量も総じて少なくなるでしょう。したがって、情報の伝達に際しては、そういった身体的な特徴に十分配慮する必要があります。たとえば、情報を伝えるメモの字を大きくする、ひらがなをつかう、一人ひとりていねいにゆっくりと口頭で伝える、介護者の方などにも情報を共有していただくなどといったことが必要です。