

平成15年中の林野⽕災発⽣状況をみると出⽕件数は1,810件(前年⽐1,533件減)、死者は19⼈(同2⼈増)、焼損⾯積は726ha(同1.901ha減)となっています。
⽇本における林野⽕災は、例年春先に多く発⽣しており、平成15年も例外ではなく、3⽉から5⽉までの間に1,003件と年間の55.4%の⽕災が集中し、特に3⽉には430件が発⽣しています。この時期は、⼭林に燃えやすい落ち葉や枯れ草が多く残っているほか、強風が吹きやすく、また降⽔量の少ない乾燥した⽕災の発⽣しやすい気象状況が続きます。
林野⽕災の出⽕原因としては、「たき⽕」、「たばこ」、「⽕⼊れ」を出⽕原因とするものが全体の51.3%を占めるなど、⽕気の取扱いの不注意や不始末による失⽕が多くなっています。
消防庁では、林野庁と共同して春季全国⽕災予防運動期間中の 3 ⽉ 1⽇から 7 ⽇までを「全国⼭⽕事予防運動」の実施期間とし、全国の消防関係機関において林野⽕災の予防対策と警戒を強化するほか、ハイカー等の⼊⼭者、地域住⺠、⼩・中学校⽣徒を対象とした啓発活動、駅や市町村の庁舎、登⼭⼝等へのポスターや警報旗の掲⽰、報道機関を通じた⼭⽕事予防思想の普及啓発、消防訓練及び研究会の開催、婦⼈防⽕クラブの広報活動などを通じて、⼭⽕事予防を呼びかけています。
失⽕による林野⽕災を未然に防ぐため、レクリエーションやドライブで⼊⼭される⽅は、燃えやすいものの周囲でのたき⽕や、たばこの投げ捨てなどを絶対にしないことはもちろん、各⾃のゴミの持ち帰りなどマナーの向上が不可⽋です。また、林野の周辺に居住の⽅や、業務により⼊⼭する機会の多い⽅は、⽕気を使⽤される場合は、気象状況、周辺の可燃物の状況に注意するとともに、近くに消⽕⽤の⽔を必ず⽤意し、完全に⽕が消えたことを確認してからその場を離れるなど充分な管理をしてください。特に強風注意報や乾燥注意報などが発令されている時は、思いがけない⾶び⽕や急激な⽕勢の拡⼤が発⽣し⼤⽕災になりかねませんので、⽕気の使⽤は避けてください。
森林は、地球温暖化の主要な原因である⼆酸化炭素を吸収し、⽣命に必要な酸素を供給する貴重な資源であり、⼀度焼失してしまうと、その回復には⻑い年⽉と多くの労⼒を要することになります。林野⽕災の多くは、⼀⼈ひとりの注意でその発⽣を抑制することができるものです。林野における⽕気の取扱には、⼗分気をつけましょう。