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2008年6月

4.住宅用火災警報器の奏効事例及び悪質訪問販売の事例について

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 消防庁では、近年、増加傾向にある住宅火災の死者発生防止に有効な住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)の普及を推進しており、一日も早い住警器設置を呼びかけるため、住警器の設置による奏功事例と悪質訪問販売事例を収集・紹介しています。
 以下、平成19年中に全国の消防本部から報告があった事例を紹介します。なお、詳細及び過去の事例は(http://www.fdma.go.jp/html/life/joho_index.html)でご覧になれます。

1 住警器設置による奏功事例
 火災の発生を防止した事例、火災を早期に発見し死者の発生を防止した事例等の住警器による奏功事例は、平成18年中の64件に対して平成19年中は159件となっており、約2.5倍に増加しています。
 住警器設置の最大の効果は、逃げ遅れ防止であり、警報音によりいち早く居住者が火災を察知し、炎や煙に巻かれる前に避難できることにあります。こうした奏功事例も数多く報告されていますが、このほかにも初期消火に成功して住宅・家財への被害を免れたり、近所の人が警報音に気付いて通報・救助されたといった奏功事例も報告されています。

【早く気付いて初期消火に成功!】

  • 居住者は、寝たばこをして就寝中のところ、住警器の警報音で目が覚め、ふとんから煙が出ていることに気付き、ふとんを風呂場へ持って行き、浴槽の水に浸して消火した。(千葉県千葉市)

  • 共同住宅に住む女性が、仏壇のローソクに火をつけて拝んでいるうちに気分が悪くなり、意識を失い倒れてしまった。その間にローソクが転倒・落下し、火が周囲に燃え移った。仏間に設置されていた住警器が発報し、警報音で意識を取り戻した女性が火災に気付き初期消火した。(広島県広島市)

【近所の人が気付いてくれることもあります!】

  • 共同住宅に住む男性(40代)が、ガスこんろに食パンを置いて火をつけたまま寝込んでしまったため食パンを焦がした。近隣住民が男性宅前を通りがかったところ、住警器の警報が鳴っているのを聞き、窓越しに炎らしき赤い光が見えたため119番通報した。(愛知県名古屋市)

  • 外出先で建物から住警器の警報音が聞こえたため、中に入ったところ2階階段踊り場で倒れていた居住者を発見した。居住者を抱きかかえて室外に搬送し、消防隊及び救急隊に引き継いだ。(青森県弘前市)

  • 共同住宅に居住する高齢者(70代)が、味噌汁の入っていた鍋をガスこんろで加熱したまま寝てしまったため、鍋が空焚き状態となった。台所に設置されている住警器が作動し、隣室の居住者が火災だと気付き119番通報した。(愛知県名古屋市)

  • 居住者の女性(80代)が、1階台所ガスこんろのグリルで昼食用の魚を焼いている途中、買い物のためそのまま外出した。その後、過熱により発生した煙を、2階廊下に設置されている住警器が感知し、警報音を発した。

 この警報音に2階で寝ていた男性(20代)が気付いて1階に降りたところ、室内に煙が充満しているのを発見し119番通報・避難した。到着した消防隊がこんろの火を止め、魚焼き器内の魚が焼け焦げただけで、大事には至らなかった。(北海道札幌市)

2 住警器の悪質訪問販売の事例
 住警器の悪質訪問販売事例の報告は、平成18年中の59件に対して平成19年中は39件となっており、減少しているものの、依然として全国的に被害が発生しており注意が必要です。
 ここでは、平成19年中に報告されたもののうち、被害額が高額だったもの(クーリングオフ等により対応しなければ被害額が高額だったものを含む。)を紹介します。

【設置義務付けの法令違反を騙(かた)る手口に注意!】

  • 高齢者世帯の女性に、「電話を無料で提供する」との勧誘があり応じたところ、業者は、オプションとして、住警器のついた電話購入の契約をさせた(クレジット83回払い総額470,542円)。販売手口は、住警器の設置が法令で義務付けられ、設置しないと法令違反であると強い口調で契約させたもの。その後、市民相談窓口に相談があり、クーリングオフにより解約した。(滋賀県草津市) 高砂市家屋調査士の後藤と名乗る男性2人組が、「高砂市・加古川市では、火災警報器の設置が義務付けられている、近所でも取り付けている。私は市役所から依頼されて来ました。」と言ったので、取り付けを依頼し、代金を引き出しに農協へ行き、帰宅すると台所と階段に配線を取り付けており、341,250円を支払ったもの。なお、住警器は2個設置されていたが、配線は偽装で通電していなかった。(兵庫県高砂市)

【役所や消防・農協等を騙(かた)る手口に注意!】

  • 「農協からガスの点検に来ました。」と言って、男性2人が来て、1人が台所にあがり「ガスは大丈夫ですが、住宅用火災警報器が必要です。」と言った。もう一人も台所に上がり、台所の壁に住警器を1個設置し、29,000円を請求され支払った。(石川県鳳珠郡)

【強引に部屋に押し入る手口に注意!】

  • セキュリティシステム機器の訪問販売員という若い男性が来て、ドアを開けるといきなり部屋に上がってきて室内を見回し、住警器等の説明をし、訳のわからないうちにクレジットによる購入契約をしてしまった。同じ団地の町内会役員の方から「金額も高く不自然」と言われ、町内会役員の女性と消費生活センターに相談に行った。クーリングオフ適用の期間内であったため、消費生活センターからの指導により、文書による契約解除の手続きを取った。クレジット金額は482,400円。(福岡県北九州市)

消防庁発行「消防の動き」4月より


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