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2011年4月

4.住警器共同購入等の事例紹介 ~第9回~

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地区ごとの柔軟な取組を活かした自治体全体での共同購入活動(兵庫県三木市)

 近年の市町村合併の促進などに伴い、1つの自治体/消防管轄内に、新興住宅地や古くからの住宅地、農村地域など、性格の異なるコミュニティが存在することは少なくありません。
 ここでは、地域ごとの特性を柔軟に活かしつつ、区長協議会連合会が中心となって自治会全域での共同購入活動を実施した事例を紹介します。

(総務省消防庁「消防の動き 2011年3月号」より)

(1)地域・取組主体の概要

 三木市には、農業を中心とする地域から新興住宅地まで様々な地域が混在している。
 三木市区長協議会連合会は、三木市内194自治会(加入戸数約2.5万戸)を取りまとめる10地区の地区区長協議会からなる連合会である。三木市住宅用火災警報器設置推進協議会は、それに消防団や市営住宅管理者、家電販売店等を含んだ16の構成団体からなる代表者16人、構成員約1,000人の組織である。

取組主体:三木市住宅用火災警報器設置推進協議会
人数等:代表者16人
消防署等:三木市消防本部
職員数:91人
地域:兵庫県三木市
人口/世帯数:7万5,087 人/ 2万5,078 世帯(旧三木市) 9,274 人/ 2,560 世帯(旧吉川町
キーワード:●広報・周知
(テレビ・ラジオ等、新聞・広報誌等、掲示物・配付物、説明会、アンケート・回覧)
●共同購入
●購入補助(一部世帯向け補助)
●集金方法の工夫
●設置支援
●設置確認(戸別訪問、設置済ステッカー、アンケート・その他)
●賃貸物件対策

 先行実施した地区は、昭和40年代からの新興住宅地で、神戸方面に通勤する世帯も多い。平成7年の阪神・淡路大震災で勤務先が被災した経験を持つ人が多く、その後地域での防災訓練の実施や防災備蓄、高齢者等の把握に努めるなど、日頃から防災意識を高く持ち様々な活動を行っていた。



平成20年7月 先行する地区にて共同購入を実施
工夫点
①先行する地区区長協議会への依頼
②取付支援の実施


平成20年10月 その他の9地区でも共同購入を実施
工夫点
③地域ごとの購入先選択
④購入意欲を促進する回覧の工夫
⑤地域ごとの配付・集金方法の選択

(2)共同購入の取組概要

 日頃から防災意識の高い地区で先行的に共同購入を実施した後、市内の全地区に活動を広げた。購入方法等については一律とせず、それぞれの地域ごとに選択できるようにした。なお65歳以上の一人暮らしの高齢者宅については、市の予算により1個の無償設置事業を実施した。

各地区の特徴と共同購入における購入率

地区購入率(%)地区の特徴地区購入率(%)地区の特徴
A地区10~15旧市街、伝統工業F地区50~55農業中心
B地区0~5旧市街+新興住宅地G地区5~10新興住宅地(昭和40年代)
C地区5~10新興住宅地+農業H地区10~15新興住宅地(昭和40年代)
D地区10~15農業中心I地区5~10新興住宅地(H地区後)
E地区20~25農業中心J地区20~25農業中心

(3)工夫点の紹介

工夫点①:先行する地区区長協議会への依頼
●実施内容
 地区区長協議会に消防署員と婦人防火クラブ員が説明に赴き、地区内の自治会に対して共同購入の回覧・回収、機器配付と集金を依頼した。

●ポイント
 日頃から防災意識が高い地域では、住警器の必要性についての理解や活動への協力が得やすい。なかなか取組が始められない場合には、こういった地域から活動を始めることも1つの方法である。

工夫点②:取付支援の実施
●実施内容
 取付けを希望する世帯に対しては、シルバー人材センターが1個1,000円にて実施した。取付価格は、県全体のシルバー人材センターでの共通価格を用いた。

●ポイント
 シルバーセンター事務局が日程調整を行い、訪問は男女ペアで行うなどの工夫をした。電器店が取付けを行った地区においても価格を統一した(テスト等に時間を要する無線連動型を除く)。また、3世帯あたり1名程度の消防団員がいるような地区では、地元消防団員が支援を行った場合もあった。

工夫点③:地域ごとの購入先選択
●実施内容
 機器購入先は、各地区の地元電器店を中心とした。電器店の無い地域では、JAの支店を窓口としてメーカーから購入した。

●ポイント
 地元の電器店から購入することにより、配付、取付支援、集金などにおいてきめ細かな対応を得られた。

工夫点④:購入意欲を促進する回覧の工夫
●実施内容
 購入希望は、回覧により世帯ごとに個数を記入する形をとった。回覧時点で班長等の申込個数が記入されている場合には、無記入の場合よりも購入する傾向が強かったとのこと。

●ポイント
 自治会の役員等が率先して購入・設置することも、全体の機運を高めるのに役立っている。回覧にあらかじめ購入希望数を記入するといった細かい工夫も有効である。

工夫点⑤:地域ごとの配付・集金方法の選択
●実施内容
 配付・集金方法は一律とせず、地区により、様々な方法を選択した。領収書は自治会単位で発行した。
・自治会単位での配付+集金
・電器店による戸別配付+集金
・JAによる戸別配付+口座引き落とし

●ポイント
 電器店やJAの協力により、自治会の負担(集金事務)が軽減されている。

(4)その他のポイント等

●他の地域への波及効果
 市の広報誌や新聞折り込みのカレンダー、FM放送を用いた広報なども行っている。
 量販店における販売促進もお願いしている。

(5)活動において作成された資料等

自治会公民館前ののぼり掲示
自治会公民館前ののぼり掲示
消防本部ロビーの展示コーナー
消防本部ロビーの展示コーナー

 次回は、啓発活動のための費用がなかなか捻出できない悩みを抱えている中、民間事業者との協力で啓発活動を実施した「民間事業者との協力によるイベント等の啓発活動(取組主体:中和広域消防組合(奈良県大和高田市他4市町村))」を紹介します。
 なお、本ノウハウ集は消防庁ホームページ(住宅防火情報)でもご覧いただけますので、参考としてください。〈リンク先〉http://www.fdma.go.jp/html/life/juukei.html

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