応急手当の必要性
突然、目の前にいる人が倒れたり、交通事故などで怪我をしている人を見かけた時には、119番通報で救急自動車を呼びますが、救急自動車が119番通報を受けてから、救急現場へ到着するまでに要する時間は、救急出動件数の増加の影響等もあり、年々遅れる傾向にあり、平成21年中の全国平均での到着時間は、7.9分となっています。
図1 救命のリレー
((財)救急振興財団「改訂3版応急手当講習テキスト
救急車がくるまでに」から抜粋) カーラーの救命曲線(1981年:(Morley Cara))によれば、心臓停止の傷病者を3分間放置しただけで、死亡確率は約50%といわれており、傷病者を救命するには、早い通報・早い応急手当・早い救命処置・医療機関での早い救急医療という救命のリレーが不可欠となります。
特に救急自動車が到着するまでの「空白」の時間に、救急現場に居合わせた人(※バイスタンダー)が勇気をもって応急手当を実施することが、救える命を救うために重要なステップとなります(図1)
※バイスタンダーとは
「偶然に通り合わせた人」「すぐ側にいる人」のことを言い、生命の危険に陥った人に救いの手を差し伸べる人を指しています。
図2 応急手当の救命効果(平成21年中)応急手当の救命効果
平成21年中における全国の救急隊が搬送した傷病者のうち、一般市民により心肺機能停止の時点が目撃された心臓の異常が原因の心肺機能停止症例について、救急隊が到着した時に一般市民による応急処置が実施された場合の生存者数の割合(13.8%)と実施されていなかった場合の生存者数の割合(9.0%)を比べると、応急手当が実施されていた場合の方が、4.8ポイント(約1.5倍)救命効果が高くなっております(図2)。
応急手当を身につけましょう
消防機関では、一人でも多くの人に応急手当の知識と技術が広く普及するよう、実技指導に積極的に取り組んでいます。消防機関が開催している住民に対する応急手当講習会は次の2種類があります。
講習会(3時間)
心肺蘇生法(成人)、大出血時の止血法、対象者によっては、小児・乳児・新生児に対する心肺蘇生法を加える。
上級救命講習会(8時間)ng>普通救命
心肺蘇生法(成人・小児・乳児・新生児)、大出血時の止血法、傷病者管理法、外傷の手当、搬送法
上級救命講習会の様子
(写真提供:松阪地区広域消防組合消防本部) 平成21年中に全国の消防機関による普通救命講習会は7万4,111回開催され、149万246名が受講、上級救命講習会は、3,696回開催され、7万5,926名が受講し、合計で受講者数は150万人以上が受講しております。
これらの講習は、傷病者の救命にかかわる心肺蘇生法、大出血時の止血法、AED(自動体外式除細動器)の正しい使い方について、実技を主体とした講習内容となっております。
この応急手当講習は、各消防本部等で受講することが出来ます。講習開催日は、最寄りの消防本部(署)に直接お問い合わせください。
いざという時に大切な方の命を救うためにも、応急手当講習を受講しましょう。
(総務省消防庁「消防の動き 2011年4月号」より)