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2013年8月

3.地域の連携による防災活動の活性化

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住民自らによる災害への備え

総務省消防庁 防災課

避難路整備の様子(出典:第17回防災まちづくり大賞)
避難路整備の様子
(出典:第17回防災まちづくり大賞)
 日本列島は、その位置、地形や気象などの自然条件から、地震、台風、集中豪雨などによる自然災害が発生しやすい環境にあります。
 昨年度においても、5月に発生した竜巻による被害をはじめ、7月の梅雨前線による大雨や九州北部豪雨による被害、11月から3月までの雪による被害など、全国各地で大きな被害が発生しました。
 また、南海トラフ巨大地震、首都直下地震等の発生が懸念されており、このような事態が発生すると、地震の揺れや津波などによって甚大な被害が広範囲にわたって発生することが予測されています。
 大規模災害時には被害が大きくなればなる程、消防などの公的機関による消火、救助、救急などの活動が追いつかなくなることが想定されます。例えば大地震が発生し、消防車は全て出払い、がれきで道路が塞がれ、生き埋めになっている人や負傷者がたくさんいたら―そこで大きな役割を果たすのが、地域住民自らによる防災活動です。
 地域住民による防災組織として、自主防災組織があります。自主防災組織とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、地域で住民が自主的に結成する組織のことで、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。自主防災組織は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機に、その重要性が見直され、全国各地でその結成・育成が積極的に取り組まれています。
(平成24年4月1日現在、150,512団体)

連携による活動の活性化
図1さまざまな関係機関との連携により期待できること
図1さまざまな関係機関との連携により期待できること
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携したり、消防団、学校、企業など、地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることができるようになります。(図1)
 ここで、地域の住民が連携して防災のまちづくりを行っている石川県珠洲市正院地区自主防災組織の取組事例を紹介します。
 正院地区自主防災組織は、消防団、各ボランティア、青年団、PTAなどと協力し、市指定の津波来襲時の一時避難場所と避難路を約1か月半の時間をかけて整備しました。有志約200人がそれぞれの経験や職業を生かして木を伐採して避難路を拡大したり、登坂に枕木や砂利を敷設したり、手すりを設置して登りやすくするなどの整備が行われ、地域で協力して津波からの避難に備えています。
 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。
 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLからご覧になれますので、ぜひ参考にして下さい。
http://www.fdma.go.jp/html/life/bousai/bousai_2304.pdf
 災害時には、その地域に住んでいたり、働いていたりして、その地域をよく知っている人々の自主的な防災活動が必要不可欠です。皆さんも、自ら災害に備え、訓練や危険箇所の点検等、自主防災組織の活動に積極的に参加しましょう。

(総務省消防庁「消防の動き 2013年7月号より)

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