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2013年11月

2.火山災害対策について

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火山災害に対する備え

総務省消防庁 防災課

 日本には110の活火山があります。国内では平成12年の有珠山、三宅島の噴火以来、大きな人的・物的被害を伴う火山噴火は発生していませんでしたが、霧島山(新燃岳)が平成23年1月26日に本格的マグマ噴火を開始しました。この他、鹿児島県の桜島は定常的に噴火して火山灰を降らせていますし、浅間山でも平成21年に噴石の飛散を伴う噴火が発生しています。

主な火山災害の要因

噴石:火口から放出される大きな岩や石である噴石は、あたると人や家屋に大きな被害をもたらすことがあります。降ってきた場合には岩かげや丈夫な建物に身をよせましょう。
火砕流:高温のガス・溶岩片・火山灰などが一団となって、高温・高速で斜面を流れ下る現象。通過した所では、家屋などがすべて焼き尽くされます。
土石流、火山泥流:火山灰が積もったところは水が地中にしみこみにくいため、雨が降ると土石流が発生したり、火口付近で噴火が起きると火山泥流が発生したりすることがあります。発生した場合には流れから遠ざかる方向へ逃げましょう。
火山灰:火山灰は噴火の大きさや上空の風の強さによっては1,000㎞以上も遠くまで飛んでいくことがあります。付着すると、農作物を枯らしたり、電線の切断や飛行機のエンジントラブルを引き起こしたりするなど、生活に大きな影響を与えます。
 この他、溶岩流や有毒な火山ガス、火山活動に伴う地震も火山災害をもたらす要因です。

噴火警報と噴火警戒レベル

 火山活動の状況と、取られるべき防災活動を知らせる情報に「噴火警報」と「噴火警戒レベル」があります。噴火警報は居住地域や火口周辺に影響が及ぶ噴火の発生が予想された場合に発表され、噴火警戒レベルは「避難」「避難準備」「入山規制」「火口周辺規制」など必要な防災活動をキーワードで示して警戒を呼びかけます。
 平成25年8月現在、霧島山(新燃岳)と桜島がレベル3(入山規制)、その他の火山はレベル2または1となっていますが、仮にレベル4(避難準備)以上に引き上げられた場合には、火山周辺地域では居住地域も含めて、避難準備または避難という具体的な防災行動を迅速に取ることが強く望まれます。

火山災害対策の共同検討体制

 火山は地域の行政区会の境界となっていることが多く、複数の都道府県や市町村が火山に関わることとなる場合が多くなります。この場合、関係する市町村や都道府県等の関係機関が互いに情報を共有し、避難の対応等について調整を行い、整合性のとれた行動をとる必要があります。加えて、火山防災には市町村のみならず多岐にわたる機関が連携して取り組む必要があることから、平常時から、情報を共有し、避難の対応等について調整を行う「火山防災協議会」等の広域的な連絡・協力体制の整備が必要となります。
 防災基本計画(平成24年9月6日改定)では、「都道府県は、国、市町村、公共機関、専門家等と連携し、噴火時等の避難等を検討するための「火山防災協議会」を設置するなど体制を整備するよう努める」とされています。
 平常時においては、火山防災協議会は、次のような事項等を共同検討する場となります。

  • ①噴火シナリオの検討
  • ②火山ハザードマップの検討
  • ③ ①、②を踏まえた噴火警戒レベルの導入
  • ④具体的で実践的な避難計画の検討
  • ⑤火山防災マップ(②に噴火警報等の解説や避難計画の内容、住民への情報伝達の方法等を記載したもの)の検討
  • ⑥防災訓練の計画・実施 等

 これらの共同検討を進めるに当たっては、協議会メンバーのうち、特に避難時期や避難対象範囲の確定に深く関与しているメンバーである、関係都道府県、市町村、国の機関(管区・地方気象台等、砂防部局)、噴火予知連絡会委員等の火山専門家等から構成されるコアグループを形成し、このコアグループが協議会等の活動を主導する役割を果たしていくことが求められています。

 以上のように、火山災害対策の推進においては、都道府県が中心となり、関係機関による平常時からの定期的な連絡と、顔の見える関係の構築が重要になります。
平成25年8月の桜島の噴火(気象庁提供)
平成25年8月の桜島の噴火
(気象庁提供)
 国における最近の取組としては、平成25年5月に広域的な火山防災対策に係る検討会(事務局:内閣府政策統括官(防災担当)、消防庁、国土交通省水管理・国土保全局砂防部及び気象庁)において、「大規模火山災害対策への提言」が取りまとめられました。この提言には、大規模火山災害への備えの現状の課題や、今後、国と地方公共団体が大規模火山災害に備えて取り組むべき事項が整理されています。
 今後は、内閣府等と連携の上、「火山災害応急対策対処方針(仮称)」を策定し、国・地方公共団体が実施する火山災害応急対策の具体化等を図る予定です。

(総務省消防庁「消防の動き 2013年10月号より」)

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