1 はじめに
消防庁では、消防法により設置が義務付けられている住宅用火災警報器(以下「住警器」という。)の設置率等について、平成27年6月1日時点での調査結果をまとました。
設 置 率 | 81.0% |
条例適合率 | 66.4% |
- ※ 設置率とは、市町村の火災予防条例において設置が義務付けられている住宅の部分のうち、一箇所以上設置されている世帯の全世帯に占める割合です。
- ※ 条例適合率とは、市町村の火災予防条例において設置が義務付けられている住宅の部分全てに設置されている世帯(条例適合世帯)の全世帯に占める割合です。
なお、一定規模以上の共同住宅等で自動火災報知設備等が設置されていることにより住宅用火災警報器の設置が免除される世帯も条例適合世帯に含んでいます。
なお、平成26年度から、調査方法を以下のように変更しています。
調査方法等の変更について
従来、訪問調査、アンケート調査等、各消防本部等において一部異なる方法により調査された設
置率調査結果の動向を基礎として、消防庁が推計したものを公表していました。
平成26年度以降の設置率調査は、消防庁が示した訪問調査を原則とする調査方法により、各消防本部等が実施した標本調査の結果をとりまとめたものです。
2 都道府県別に見る住警器の設置率等
都道府県別にみますと、設置率、条例適合率ともに福井県が最も高くなっています。
(都道府県別等の結果は表1参照)
福井県 設置率 | 94.9% |
福井県 条例適合率 | 90.8% |
なお、設置率の高い地域では、住警器の普及促進にあたり、以下のような取組を実施してきています。
設置率の高い地域における住警器の普及促進に向けた取組
- ● 平成18年の義務化から全戸調査が開始され、平成25年には全ての消防本部で全戸調査終了。
- ● 住警器の共同購入を推進しており、職員等が各地区に出向いて説明会等を実施している。
- ● 住宅地図に色を塗り、一目で未設置世帯が分かるようにしている。
- ● 火災予防運動時には、未設置世帯を重点的に訪問している。
- ● 婦人防火クラブ連絡協議会が「住宅用火災警報器見回り作戦」を重点事業とし,共同購入や戸別訪問を実施。
3 おわりに
我が国における住宅火災件数及び住宅火災における死者数は、新築住宅に対する住警器の設置義務化がスタートした平成18年以降減少傾向にあるなど、住警器の普及促進を始めとした住宅防火対策には一定の効果が現れていると考えられます。
しかし、全国的に見ると住警器未設置世帯が約2割あり、条例適合率が極めて低い地域も見られますので、更なる普及促進が必要です。
また、住警器の電池切れや故障等により火災時に警報が鳴らない、電池切れ警報や誤発報等により設置していた住警器を取り外してしまう等の事例が想定されます。こうした事例を防ぐため、定期的に作動確認を行うなど、適切な維持管理の方法についても広報の強化が必要です。
その際、自動試験機能や作動確認により機器の異常が判明した場合や自動試験機能を有さない住警器の交換期限が近くなった場合は適切に本体を交換する必要があること、電池切れの場合は適切に電池を交換する必要があること、設置から10年以上が経過している場合は本体内部の電子部品の劣化が考えられるため本体を交換することが望ましいこと等についても、あわせて周知することが必要です。
都道府県別設置率及び条例適合率(平成27年6月1日時点)
(標本調査のため、各数値は一定の誤差を含む。)
都道府県 | 設置率 | 条例適合率 | 都道府県 | 設置率 | 条例適合率 |
全国 | 81.0% | 66.4% | 三重 | 77.5%(31) | 64.6%(26) |
北海道 | 85.9%(10) | 73.2%(10) | 滋賀 | 81.3%(19) | 61.8%(35) |
青森 | 73.1%(39) | 57.9%(41) | 京都 | 84.7%(13) | 69.8%(15) |
岩手 | 86.0%(9) | 74.6%(8) | 大阪 | 83.4%(15) | 75.1%(6) |
宮城 | 90.9%(2) | 64.3%(27) | 兵庫 | 85.5%(12) | 68.1%(20) |
秋田 | 78.9%(29) | 64.2%(28) | 奈良 | 77.3%(32) | 73.6%(9) |
山形 | 80.1%(26) | 63.7%(31) | 和歌山 | 80.3%(24) | 66.0%(24) |
福島 | 73.6%(38) | 61.5%(36) | 鳥取 | 86.4%(8) | 67.8%(22) |
茨城 | 71.4%(42) | 60.1(39)% | 島根 | 82.8%(17) | 62.9%(33) |
栃木 | 70.2%(43) | 59.4%(40) | 岡山 | 65.6%(46) | 39.2%(47) |
群馬 | 66.0%(45) | 51.5%(44) | 広島 | 87.5%(7) | 78.9%(3) |
埼玉 | 76.5%(34) | 60.8%(37) | 山口 | 83.4%(15) | 75.1%(6) |
千葉 | 74.2%(37) | 62.1%(34) | 徳島 | 70.2%(43) | 52.0%(43) |
東京 | 88.6%(3) | 72.2%(12) | 香川 | 76.0%(36) | 63.7%(31) |
神奈川 | 83.6%(14) | 69.2%(17) | 愛媛 | 80.9%(20) | 70.9%(14) |
新潟 | 80.4%(23) | 67.9%(21) | 高知 | 76.7%(33) | 65.5%(25) |
富山 | 85.6%(11) | 72.9%(11) | 福岡 | 78.3%(30) | 64.2%(28) |
石川 | 87.7%(6) | 84.5%(2) | 佐賀 | 72.0%(41) | 55.3%(42) |
福井 | 94.9%(1) | 90.8%(1) | 長崎 | 80.6%(22) | 68.6%(18) |
山梨 | 72.3%(40) | 64.1%(30) | 熊本 | 81.7%(18) | 68.3%(19) |
長野 | 80.3%(24) | 60.8%(37) | 大分 | 88.0%(5) | 75.4%(5) |
岐阜 | 80.7%(21) | 67.8%(22) | 宮崎 | 79.5%(27) | 72.0%(13) |
静岡 | 76.5%(34) | 69.8%(15) | 鹿児島 | 88.5%(4) | 78.1%(4) |
愛知 | 79.4%(28) | 46.4%(45) | 沖縄 | 59.2%(47) | 44.5%(46) |
( )内は、設置率等が高い都道府県から順に番号を付している。