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2017年8月

2.住民自らによる災害への備え

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総務省消防庁 地域防災室

 日本列島は、その位置、地形、気象等の自然災害から、地震、台風や梅雨前線による集中豪雨、大雪等による自然災害が発生しやすい環境にあります。
 昨年度においても、4月は2度にわたり震度7を観測した熊本地震、8月には台風第10号の影響による北海道及び東北地方での水害、12月には新潟県糸魚川市での大規模な火災の発生など、全国各地で大きな災害が発生しました。
 また、南海トラフ地震、首都直下地震など大規模地震の発生が懸念されており、このような事態が発生すると、地震の揺れや津波などによって甚大な被害が広範囲にわたって発生することが予測されています。
 大規模災害時には被害が大きくなればなるほど、消防などの公的機関による消火、救助、救急などの活動が追いつかないことが想定されます。例えば大地震が発生し、消防車が全て出払い、がれきで道路が塞がれ、生き埋めになっている人や負傷者が大勢いたら―そこで大きな役割を果たすのが、地域住民自らによる防災活動です。
 地域住民による防災組織として、自主防災組織があります。自主防災組織とは、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚、連帯感に基づき、地域で住民が自主的に結成する組織のことで、平常時には防災訓練の実施、防災知識の普及啓発、災害危険箇所の点検、資器材の購入・点検等を行い、災害時においては初期消火、避難誘導、救出・救護、情報の収集・伝達、給食・給水、災害危険箇所の巡視などを行います。自主防災組織は、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災を契機に、その重要性が見直され、全国各地で組織の結成・育成が積極的に取り組まれています(平成28年4月1日現在、16万1,847団体)。

連携による活動の活性化
 地域の安心安全を守るために活動している自主防災組織が、地域の垣根を越えて互いに連携し、また、消防団、学校、企業など地域の様々な防災活動団体と連携し、お互いの得意分野を活かして補完し合うことで、地域の防災力をより高めることができるようになります(図)。
 ここで、地域の住民と企業等が連携して防災のまちづくりを行っている東京都の日本橋三丁目西町会の取組事例を紹介します。


図 様々な関係機関との連携により期待できること
 日本橋三丁目西町会は、夜間は僅か50名程度に激減する昼夜間の人口差が極めて大きい商業地域の中、町会が主体となり、周辺企業等の多様な組織による「震災対策防災協議会」を設置し、月例ミーティングを重ね、毎年の防災訓練ではブラインド型訓練や担架搬送訓練など積極的な取組を行っています。

日本橋三丁目西町会・震災対策防災協議会による
ビル郡の一角を会場にしたブラインド型の防災訓練
(出展:第21回防災まちづくり大賞)
 このように、普段から地域の関係団体と連携・協力関係を築き、地域における人的ネットワーク(つながり、結びつき)を広げ、地域コミュニティの強化を図ることが、いざという時に大きな力となります。
 自主防災組織については、消防庁が作成した「自主防災組織の手引」に詳しく記載しています。下記のURLから御覧いただけますので、ぜひ参考にしてください。

●「自主防災組織の手引」(平成29年3月改訂)
https://www.fdma.go.jp/html/life/bousai/bousai_2904.pdf

(総務省消防庁「消防の動き」 2017年7月号より)

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