平成23年3月に発生した東日本大震災を始め、我が国はこれまで幾多の大地震とそれに伴う巨大な津波による被害を受けてきました。今後も、南海トラフ巨大地震等による津波被害の発生が懸念されています。
津波による被害を防ぐため、強い揺れや弱くても長い揺れがあった場合には、すばやく、高台や津波災害に対応した指定緊急避難場所などの安全な場所へ避難することが重要です。
消防庁においては、津波による人的被害を軽減するためには、住民等一人ひとりの避難行動が基本になることから、平成25年3月に「津波避難対策推進マニュアル検討会報告書」を取りまとめ、都道府県による津波浸水想定の設定や、これを踏まえた市町村による指定緊急避難場所、避難経路の指定などの取組を推進しているところです。
昨年11月22日に発生した福島県沖を震源とする地震でも、東日本沿岸部に津波警報・注意報が発表され、沿岸市町村で多くの住民避難が行われたところであり、津波避難対策の重要性が改めて認識されました。
こうした状況を踏まえ、都道府県に対して、各市区町村における、以下の津波避難対策の推進について、必要な取組を行うように求めています。
・ 指定緊急避難場所、避難経路などを定めた津波避難計画の策定
津波による災害の防止
地震が発生した時は「すぐに主体的に、適切に、高台等の安全な場所へ避難する」ことが重要です。
→「自分の命は自分で守る」といった津波防災意識を高くもち住民一人ひとりが主体的に行動することが大切です。
※地震発生後、短時間で津波が沿岸部に到達する可能性があります。
「揺れたら逃げる」
「警報を聞いたら逃げる」
・ 住民等の避難の実効性確保
・ 津波警報等の伝達、的確な避難指示(緊急)等の発出
・ 徒歩避難の原則の周知
・ 津波被害を想定した実践的な避難訓練の実施
津波による被害を防止するためには、いざというとき津波から円滑に避難することができるよう、住民等が直接参画し、それぞれの津波避難の方法等を検討しておくことが重要です。
地域ごとの津波避難の検討は、真に自らの命を守ることに直結するものであり、住民自らが策定するという心構えが大切です。また、津波避難対策は、住民のみならず当該地域内で活動している公共的団体、あるいは事業を営む民間企業等の協力、支援、参画を得ながら、地域ぐるみで実施することが重要です。実践的な訓練等を繰り返し、その検証を通じて、不断に見直していくことで、より高い実効性が得られるとともに、避難に対する意識の向上が図られていきます。
何よりも、実際に避難行動をとる住民一人ひとりが、「自分の命は自分で守る」といった自覚を持ち、日頃から津波避難訓練等を通じて防災意識の向上を図り、強い揺れや弱くても長い揺れがあった場合には、すぐに主体的に、高台等の安全な場所へ避難するという行動をとることが重要です。
津波避難誘導標識システムによる記載例
(総務省消防庁「消防の動き 2017年11月号より」)