消防庁長官 高部正男 氏 平成19年の新春を迎えるにあたり、全国の皆様に謹んで年頭の
ご挨拶を申し上げますとともに、日頃のご尽力に対して心から敬意
を表し、深く感謝申し上げます。
近年、集中豪雨等の自然災害、火災や事故等により、各地に大き
な被害が発生しており、その態様も多様化、大規模化の傾向を示し
ています。実際に昨年も、平成18年豪雪に始まり、梅雨前線によ
る大雨、台風第13号、宮崎県延岡市、北海道佐呂間町での竜巻な
どの自然災害が発生しました。また、弾道ミサイル発射事案も発生
しました。
このような中、大規模災害や事故、テロ等に揺るがない社会を構
築し、国民の安心・安全を維持向上させていくためには、国、地方
を通ずる防災危機管理体制を構築し、全国的、広域的な見地から消
防体制の充実高度化を図るとともに、行政と住民が一体となって地
域の消防防災力を強化していく必要があります。
とりわけ婦人(女性)防火クラブ、自主防災組織など常日頃から
地域での防災活動に取り組まれている皆様は、災害発生時には住民の避難や被災者の救助による被害
の抑制や、組織同士の密接な連携を図ることによる地域の防災力の向上などに、大いに貢献いただい
ており、ますますのご活躍を期待いたします。
さらに、身近な問題としての住宅火災にも目を向けてみますと、近年、火災予防活動や消防機関の
充実がなされているものの、未だに住宅火災により毎年1,000人以上の方が亡くなられておりま
す。
消防庁では、このような住宅火災による死亡事故を減少させるために、平成16年に消防法を改正
し、すべての住宅に対し、火災を早期に感知し警報する住宅用火災警報器の設置の義務付けを行い、
新築の住宅については、平成18年6月1日から設置が必要となりました。また、既存の住宅につい
ても、各市町村条例で定める日から設置が必要となりますが、住宅火災で失われる命を一人でも多く
救うためには、義務付けとなるのを待つのではなく、一日でも早く住宅用火災警報器を設置していた
だきたいと願っております。
そのためには、各家庭の安心・安全のため住宅用火災警報機が必要であるという意識をもってもら
うための啓発が非常に大切であり、このためにも婦人(女性)防火クラブの皆様の日頃の地域での防
火・防災活動が非常に有効であると考えております。
昨年12月には、全国で38番目の道府県婦人(女性)防火クラブ連絡協議会として、鳥取県女性
防火・防災連絡協議会が発足いたしました。また、4月には福岡県で県レベルの連絡協議会の設立に
向けて準備されていると聞いております。災害予防のために県レベルの連絡協議会組織が充実され、
地域での防火・防災活動が活性化することを非常に心強く感じるとともに、更なるご活躍を期待して
おります。
皆様方のますますのご健勝とご発展を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。