日本列島には毎年、主に7月から10月を中心に台風が襲来し、土砂災害や河川のはん濫など、大きな被害が発生しています。
平成26年7月の台風第8号は、数十年に一度の強度の台風及び降雨量になると予想されたため、気象庁は7月7日から9日にかけて沖縄県宮古島地方と沖縄本島地方に暴風、波浪、高潮、大雨、の特別警報を発表しました。また、長野県南木曽町で非常に激しい雨が降り、土石流が発生しました。この台風に関連した人的被害は、死者3人(福島県1人、長野県1人、愛媛県1人)、負傷者67人となりました。
また、同年9月に発生した台風第18号は、東日本の太平洋側を中心に大雨をもたらし、特に静岡県の一部地域で1時間に80mm以上、神奈川県や三重県では1時間に70mm以上の大雨が降りました。この台風により約360万人以上を対象に避難勧告、避難指示が発令され、人的被害は、死者6人(茨城県2人、千葉県2人、神奈川県2人)、行方不明者1人(神奈川県)、負傷者72人となりました。
■台風による災害
〔大雨による災害〕
台風やその周辺部では、激しい雨が長時間にわたって降り続くことがあります。また、台風が日本から遠く離れた南の海上にあっても、日本付近にある前線に暖かく湿った空気が送り込まれて大雨となることがあり、河川のはん濫や、がけ崩れ、土石流などが発生して私たちの生活や生命を脅かすことがあります。
〔暴風による災害〕
台風の周りでは強い風が吹いています。平均風速15~20m/sの風であっても、歩行者が転倒したり、車の運転に支障が出たりすることがあります。さらに強くなると、物が飛んできたり、建物が損壊したりするなどの被害が生じるようになり、風速40m/sを超えると電柱が倒れることもあります。
また、台風の周辺では大気の状態が不安定になり、竜巻などの現象が生じることがあります。
〔高潮・高波による災害〕
台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上げられます。そこにさらに強い風が吹き込んで、大きな高潮災害が発生することがあります。昭和34年に日本に上陸した伊勢湾台風では、名古屋港で通常よりも約3.5mも潮位が上昇するなど、高潮による大きな災害が発生しました。近年では、平成16年台風第16号により豊後水道などから瀬戸内海に大量の海水が送り込まれ、瀬戸内海沿岸で高潮が発生し、多数の浸水被害が発生しました。また、台風の強い風によって高波が発生したり、台風が日本から遠く離れていても「うねり」となって日本周辺に高波が押し寄せたりすることがあります。
台風に対する備え
〔日頃からの備え〕
平成26年台風第8号の被害現場
(山形県南陽市白山在家地区提供)
(内閣府提供) 家庭においては台風に備えて、次のような準備を十分にしておきましょう。
・あらかじめ窓や雨戸の補強をする
・避難する時に必要な非常持出品をまとめておく
・家の中で数日間過ごすことができるよう水や食料などの非常備蓄品を準備しておく
・避難所の位置や避難所までの道筋を確認しておく
・ハザードマップなどで、家の近くの危険箇所を確認しておく
・各種災害に対応した指定緊急避難場所等の位置や道筋を確認しておく
・自治体の登録制メールに登録しておく
また、災害時の避難において支援を要する方々が迅速・安全に避難できるように、いざという時に誰が支援し、どの段階でどうやって避難するかなど、具体的な避難支援計画を定めておくことが重要です。
〔台風が近づく危険性が高まったら〕
台風が近づく危険性が高まったら、常に台風に関する情報や避難に関する情報や避難に関する情報に注意してください。災害発生の危険性が高まり、市町村から避難勧告や避難指示などが出された場合には、危険な状態になる前に、すぐに安全な場所に避難しましょう。特に、高齢者など避難に時間がかかる方は、避難準備情報が出された段階で避難することが求められます。
また、強い雨や風などによって市町村からの避難勧告等の呼び掛けが聞き取れないことがあるかもしれません。気象情報等をテレビやラジオなどでチェックし、危険と思われる場合は速やかに避難することが重要です。
さらに、避難は指定緊急避難場所への避難が原則ですが、浸水や暴風雨により指定緊急避難場所までの歩行等が危険な状態になった場合には、近隣の堅牢な建物の上層階や自宅で山や崖からできるだけ離れた上階の部屋に移動するなど、安全を確保するため、臨機応変な対応をとる必要があります。
強さの階級分け
階級 | 最大風速 |
強い | 33m/s(64ノット)以上44m/s(85ノット)未満 |
非常に強い | 44m/s(85ノット)以上54m/s(105ノット)未満 |
猛烈な | 54m/s(105ノット)以上 |
大きさの階級分け
階級 | 風速15m/s以上の半径 |
大型(大きい) | 500km以上800km未満 |
超大型(非常に大きい) | 800km以上 |
(気象庁HPより)
(総務省消防庁「消防の動き」 2015年7月号より)