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2016年8月

1.台風に対する備え

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総務省消防庁 防災課

 日本列島には毎年、主に7月から10月を中心に台風が襲来し、土砂災害や河川のはん濫など、大きな被害が発生しています。
 平成27年8月の台風第15号は、沖縄県石垣島で71.0メートルの最大瞬間風速を観測する等、南西諸島や九州を中心に猛烈な風が吹き、海上は猛烈なしけとなりました。南西諸島や西日本、東海地方で大雨となり、九州や山口、三重県で局地的に猛烈や雨が降りました。この台風により人的被害は死者1人(熊本県)、負傷者134人となっているほか、土砂災害による住家や道路の被害、浸水被害が多数発生しました。
 また、平成27年9月に発生した台風第18号に関し、台風第18号や台風から変わった低気圧に向かって南から湿った空気が流れ込んだ影響で西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となりました。特に、関東地方と東北地方で記録的な大雨となり、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名されました。この豪雨により、鬼怒川(茨城県常総市)、渋井川(宮城県大崎市)で、堤防が決壊して洪水が発生し、住家や道路等の被害が多数発生しました。この台風による人的被害は、死者8人(宮城県2人、茨城県3人、栃木県3人)、負傷者80人(平成28年4月現在)となっています。

平成27年台風第15号の被災現場(熊本県山鹿市)(山鹿市提供)
平成27年台風第15号の被災現場
(熊本県山鹿市)
(山鹿市提供)
平成27年9月関東・東北豪雨の被災現場(茨城県常総市)(内閣府提供)
平成27年9月関東・東北豪雨の被災現場
(茨城県常総市)
(内閣府提供)

■台風による災害

〔大雨による災害〕

〔大雨による災害〕 台風やその周辺部では、激しい雨が長時間にわたって降り続くことがあります。また、台風が日本から遠く離れた南の海上にあっても、日本付近にある前線に暖かく湿った空気が送り込まれて大雨となることがあり、河川のはん濫や、がけ崩れ、土石流などが発生して私たちの生活や生命を脅かすことがあります。


〔暴風による災害〕

〔暴風による災害〕 台風の周りでは強い風が吹いています。平均風速15~20m/sの風であっても、歩行者が転倒したり、車の運転に支障が出たりすることがあります。更に強くなると、物が飛んできたり、建物が損壊したりするなどの被害が生じるようになり、風速40m/sを超えると電柱が倒れることもあります。
 また、台風の周辺では大気の状態が不安定になり、竜巻などの現象が生じることがあります。


〔高潮・高波による災害〕

〔高潮・高波による災害〕 台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上げられます。そこに更に強い風が吹き込んで、大きな高潮災害が発生することがあります。昭和34年に日本に上陸した伊勢湾台風では、名古屋港で通常よりも約3.5mも潮位が上昇するなど、高潮による大きな災害が発生しました。近年では、平成16年台風第16号により豊後水道などから瀬戸内海に大量の海水が送り込まれ、瀬戸内海沿岸で高潮が発生し、多数の浸水被害が発生しました。また、台風の強い風によって高波が発生したり、台風が日本から遠く離れていても「うねり」となって日本周辺に高波が押し寄せたりすることがあります。


■台風に対する備え

〔日頃からの備え〕

 家庭においては台風に備えて、次のような準備を十分にしておきましょう。

  • あらかじめ窓や雨戸の補強をする・避難する時に必要な非常持出品をまとめておく
  • 家の中で数日間過ごすことができるよう水や食料などの非常備蓄品を準備しておく
  • 各種災害に対応した指定緊急避難所等の位置や道筋を確認しておく・ハザードマップなどで、家の近くの危険箇所を確認しておく
  • 自治体の登録制メールに登録しておく

 また、災害時の避難において支援を要する方々が迅速・安全に避難できるように、いざという時に誰が支援し、どの段階でどうやって避難するかなど、具体的な避難支援について話し合っておくことが重要です。

〔台風が近づく危険性が高まったら〕

〔台風が近づく危険性が高まったら〕 台風が近づく危険性が高まったら、常に台風に関する情報や避難に関する情報に注意してください。強い雨や風などによって市町村からの避難勧告等の呼びかけが聞き取れない場合もありますので、気象情報等をテレビやラジオ、携帯端末などでもチェックしましょう。
 災害発生の危険性が高まり、市町村から避難勧告や避難指示などが出された場合には、危険な状態になる前に、すぐに安全な場所に避難しましょう。避難は災害種別ごとに指定されている指定緊急避難場所への避難が原則です。日頃から、高潮や洪水に対応した指定緊急避難場所がどこにあるかを確認しておく必要があります。指定緊急避難場所等の表示については、全国的に標準化された図記号が用いられることが望ましいことから、平成28年3月に日本工業規格(JIS)において、「災害種別一般図記号」及び「災害種別避難誘導標識システム」が改正・制定されました。災害種別に対応した指定緊急避難場所に避難できるよう、これらの図記号及びシステムを正しく理解しておくことが大切です。
 なお、高齢者など避難に時間がかかる方は、避難準備情報が出された段階で避難することが求められるとともに、それ以外の方であっても自発的に避難することが推奨されます。
 しかし、避難するに当たり、浸水や暴風雨により指定緊急避難場所までの歩行等が危険な状態になった場合には、近隣の堅牢な建物の上層階や自宅で山や崖からできるだけ離れた上階の部屋に移動するなど、安全を確保するため、臨機応変な対応をとる必要がありますので日頃からの備えが大切です。

災害種別避難誘導標識システム記載例
災害種別避難誘導標識システム記載例

台風の強さの階級分け

階級最大風速
強い33m/s(64ノット)以上44m/s(85ノット)未満
非常に強い44m/s(85ノット)以上54m/s(105ノット)未満
猛烈な54m/s(105ノット)以上

台風の大きさの階級分け

階級風速15m/s以上の半径
大型(大きい)500km以上800km未満
超大型(非常に大きい)800km以上

(気象庁HPより)

(総務省消防庁「消防の動き」 2016年7月号より)

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