平成28年7月11日(月)・12日(火)の2日間、ルポール麹町において「第19回市町村女性防火クラブ幹部研修会」を開催し、全国から約90名の女性防火クラブ員の方々に参加していただきました。
この研修会は、団体相互の交流と活動内容等の情報交換を県レベルから市町村レベルにまで深く掘り下げ、災害等の有事に際し地域間組織の一層の充実・強化・連携を図り、連絡応援体制の構築を目的に毎年行われています。
秋本会長による挨拶【1日目】
(一財)日本防火・防災協会 秋本敏文会長より、開会の挨拶をいたしました。
「日頃からお忙しい中、それぞれの地域でクラブ員として活動してくださいますことを心より感謝申し上げます。
今年は「東日本大震災」から5年。そして「熊本地震」から3ヶ月が過ぎようとしています。近年、緊急消防援助隊の活動が活発になっていますが、災害後すぐに援助隊が到着するとは限りません。まずは地域の皆さんで助け合わなければなりません。消防団や自主防災組織も各地にありますが、全国で130万人以上おられる「女性防火クラブ」の皆さんの存在は非常に大きいものとなっています。これからも皆さんが活躍できる施策を消防庁と一緒になって考えていこうと思っています。
本日の研修会では、日頃地域で活動されている全国の幹部の方がお集まりになっています。情報共有の場として、今回の研修会が皆様に役立てば幸でございます。」
消防庁 青木長官『総務省 消防庁長官による挨拶』
来賓挨拶では、総務省消防庁 青木信之長官より挨拶をいただき、「女性防火クラブ員の皆様には日頃から、地域での防火思想の普及啓発、住宅用火災警報器の設置促進、更には初期消火訓練等、地域の安全安心を守るために活動していただきまして感謝を申し上げます。
今回の熊本地震では2千人の消防隊が派遣されましたが、それでもやはり地元の皆さんのご協力というのが不可欠です。後程消防庁から消防の現状などの講演がありますが、それ以上に、今回の研修会では全国のクラブ員の方と交流して多くの情報の交換をして、女性防火クラブの活動意義を見直していただくことが、この研修会で最も重要なことではないかと思っております。」など述べられました。
室﨑氏による
「地域防災力の向上を目指して」『室﨑益輝氏による講演 「地域防災力の向上を目指して」 』
神戸大学名誉教授、(公財)ひょうご震災記念21世紀研究機構副理事長兼研究調査本部長、室﨑益輝氏から「地域防災力の向上を目指して」と題し、講演を行っていただきました。
「阪神・淡路大震災や東日本大震災、今回の熊本地震などの巨大災害を経験して、地域レベルの防災の重要性が再認識され、その強化を図るために、地域の力を合わせ隣近所と協力して防災を進めていく必要性。そのためには日頃の繋がりが重要です。
また、被害の軽減を図るために、人や情報、物資など資源の確保。組織やネットワークの体制の構築。補強や整備など環境の改善が必要です。防災では「心(使命感)、技(専門性)、体(組織性や連携性)」が欠かせません。地域の中で、専門性をもっている女性防火クラブ等が地域防災の中核として活躍することが今後益々期待されています。」など述べられました。
近藤氏による講演
「女性防火クラブと地域防災力の充実強化」 『総務省消防庁 国民保護・防災部 地域防災室 近藤室長による講演「女性防火クラブと地域防災力の充実強化」』
近藤貴幸室長より、発生が懸念される主な大規模地震の説明や近年多発する豪雨による被害状況。
消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律概要の説明と、女性防火クラブに対する期待。
大規模災害時は、行政機能が麻痺してしまい、行政だけでは被災者を十分に支援できないことから、災害の被害の軽減のためには、自助・共助による防災活動が重要である、などの講演を行っていただきました。
熊本県女性防火防災クラブ連合会
冨田セツコ会長 『体験発表』
続いて体験発表では、まず「熊本地震」で自らも被災された熊本県女性防火防災クラブ連合会 冨田セツコ会長より、全国から寄せられたご支援について御礼がありました。
地震から3ヶ月、未だ仮設住宅にも入れない避難者が多くいることや、その後の活発な梅雨前線により、豪雨被害に見舞われている現状、益城町の女性防火クラブ員の半数以上が被害を受け、肉体的や精神的にクラブの活動ができない現状を説明していただきました。「まさか自分が被災者になるとは夢にも思いませんでした。是非、他人事とは思わず今回の研修会で学んだことを地元に帰ってクラブ員の皆さんと話し合われることを切に願うばかりです。」など述べられました。
次に、女性(婦人)防火クラブ員による3名の発表が行われました。
クラブ名 | 発表者 | 発表内容 |
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宮城県仙台市太白地区婦人防火クラブ連絡協議会 | 高橋理恵会長 | 「~絆~ともに、前へ仙台」 東日本大震災発生による太白地区の住宅の様子や、その後襲ってきた津波の被害。その後の取組みについて |
新潟県十日町市水沢女性防災クラブ | 櫻澤秀子会長 | 「地域住民に対する防火防災広報の取組み」 高齢社宅で起きた火災を機に設立された女性防火クラブの防火防災の啓発活動の様子 |
高知県大月町女性防災クラブ連絡協議会 | 中野美和会長 | 「住民が一堂に集う防災運動会」 女性防火クラブ員400名が集まって、防災運動会の様子や研修会を行った様子。実際に地区を歩きながら津波避難経路の検証などを行った様子など。 |
高橋会長
櫻澤会長
中野会長
中村講師による「避難所運営訓練」【2日目】
防災図上訓練指導員 中村敏一講師による「避難所運営訓練(HUG)」を10グループに分かれて行いました。
HUGとは、平成19年に静岡県が開発し、大地震発生時等の避難所運営を皆で考えるため避難者の年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の体育館や教室に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームです。
HUG風景(1)
HUG風景(2)
参加者は卓上の見取り図にカードを並べ、避難者に対する対応や要援護者、ペット、トレイの問題等にグループで話し合いながら避難所運営訓練を進めていました。
その後、訓練の結果や質疑応答が行われました。
その後、当協会佐野忠史理事長より修了証を授与しました。
理事長による閉会挨拶では、「女性防火クラブは世界を見渡しても女性によるこのようなボランティア活動団体、これだけの規模で行われている国は類を見ないと思われます。しかし、残念ながら年々クラブ員の数が減少しています。この打開策を当協会としても対応を検討しているところですので、皆様のご協力も併せてお願いいたします」。最後に「熊本地震」において全国の女性防火クラブから寄せられた支援金の御礼を述べ、2日間の研修会を終了しました。
佐野理事長から修了証授与
全国から約90名が参加