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2023年1月

3. 令和4年度全国自主防災組織リーダー研修会を2年ぶりに開催

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一般財団法人 日本防火・防災協会

 令和4年12月8日(木)・9日(金)の2日間、当協会の主催による「令和4年度全国自主防災組織リーダー研修会」を、東京千代田区にあるホテルルポール麹町にて開催し、各都道府県から各2名の自主防災組織のリーダーを募集したところ、各地域で活動されている70名の方々にご参加いただきました。

 この研修会は、「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が定められたことを機に、その趣旨を実現すべく、全国の自主防災組織リーダーの皆さんが一同に会し、組織運営の実態・課題について意見交換する場を設ける等の目的により、今回で7回目の開催となります。
 この研修会を開催することによって、より一層自主防災組織の意識を高め、活動への参加促進や活性化が図られ、自主防災組織の発展につながるものと考えます。

ー第1日目ー
『開会の挨拶』

 当協会の会長 秋本 敏文より、「新型コロナウイルス感染拡大がありましたが、やっと2年ぶりに本研修を開催することができました。まだ収まらない中で、お集りいただきましてありがとうございます。
 この日本は様々な災害が全国各地で起こる国です。大きな災害が起きても消防などの公の機関だけでは対応しきれません。防災の原点は地域にあり、地域のことをよく把握している皆さんの存在が重要です。本日はせっかく全国からリーダーの方々が集まっていただきましたので、情報交換をしていただいて、自分達の地域に役立てていただきたいと思います。」と開会の挨拶をいたしました。


秋本会長による開会の挨拶

全国から70名の自主防災組織リーダーが参加

『総務省消防庁 田辺国民保護・防災部長による来賓挨拶』
 総務省消防庁 国民保護・防災部長 田辺 康彦 氏


田辺 国民保護・防災部長による来賓挨拶
 「日頃から地域の要として、防災活動を行っていただきまして、誠にありがとうございます。
 私が日頃から感じておりますのは、行政機関が防災に取り組むというには当然なのですが、さらに重要なことは、皆様のような自主防災組織をはじめとする地域の方々の防災力を高める努力をしなければ、いざという時に災害には立ち向かえない。これは、これまでの災害から学んだ教訓です。
 残念ながら、自主防災組織が機能している地域と、機能していない地域があります。もちろん、自分たちの地域を守るというのもあるのですが、他の地域と支え合い、いざという時に力を発揮していただくこともお願いしたいと思っております。」

『山﨑氏による講演 「災害情報を防災に生かす」 』
 国士館大学 防災・救急救助総合研究所 教授 山﨑 登 氏


山﨑氏による講演
 さまざまな災害を取材され、昼夜を問わず日本全国で起こる災害にどのように対応すればいいのか。気象庁やマスコミが発する気象情報に過去の災害で人々はどう行動したのか等を分析され、情報を避難に活かすために
 ・地域を知ることが防災の始まり
 ・危険が迫ったらどんな情報が出るかを知る
 ・避難訓練をする
「どんなに皆さんのようなリーダーの方々が頑張っていても、地域住民に伝わらない、理解されない場合もあると思いますが、続けることが必ず次に繋がると信じて、日々活動していただきたい」というエールで締め、ご講演をいただきました。

『総務省消防庁 国民保護・防災部 地域防災室長による講演 「地域防災力の充実強化に向けた自主防災組織に関する取組」』
総務省消防庁 国民保護・防災部 地域防災室長 佐藤 茂宗 氏

佐藤氏による講演

 地域全体の防災力を向上させるため政府が取り組んでいる自主防災組織の活動の中心となるリーダー等の育成支援の施策について。
 また、組織の重要性や、消防庁が作成した手引書の内容と取り組みについて。さらに、自主防災組織に関する諸制度の解説や、教育訓練の制度、および「防災まちづくり大賞」等について講演をいただきました。



『活動発表』
群馬県利根郡 片品村社会福祉協議会 千明 長三 氏


【活動発表】千明氏
 自治体と連携した高齢者等の要配慮者見守り支援の取り組みや、一人暮らしの高齢者の救急医療情報の取り扱いに関する施策。
 また、群馬県の中でも特に豪雪地域であるため、“スノーバスターズ”と称した除雪ボランティアの取り組みや活動費を助成したり、SNSを活かして他の地域から除雪ボランティアを募る施策等について、発表いただきました。


宮城県石巻市 新橋町内会 会長 阿部 正敏 氏

【活動発表】阿部氏
 町内会で防災倉庫、備蓄物の設置を進め、はじめて地区で防災訓練を行った4か月後に起きた「東日本大震災」で津波を自らも被災され、町内に死者は一人も出なかった災害体験をお話しいただきました。
 偶然がいくつも重なり、防災訓練の経験から落ち着いて誘導ができたこと。要配慮者を事前に把握していたことから、津波が襲来する前に助けることができたことなど、大きな災害を経験された活動発表を行っていただきました。

ー第2日目ー
『グループ討議』

 6つのグループに分かれてグループ討議を行い、各自主防災組織の活動内容や問題点などについて討議しました。


グループ討議の様子(1)

グループ討議の様子(2)

『各グループ代表者により討議結果報告』
 各グループで討議された内容や、地域で抱える問題等について代表者の方に結果報告を行っていただきました。


討議結果報告の様子(1)

討議結果報告の様子(2)

第Aグループ
(宮城・神奈川・鳥取・香川・佐賀)

  • 東日本大震災を経験された方から、災害が起きた後、避難所を開設した場合「誰がリーダーか」を周りの人に分かるように、ベストやヘルメットを付けた方がよい。
  • 日頃からの地域や災害の情報収集を行うことが大切。
  • 行政から自主防災リーダーへ連絡網や避難手順の確立。

などが、いざという時のために役立つのではないかと、討議されました。

第Bグループ
(青森・栃木・富山・滋賀・島根・愛媛・鹿児島) 
活動する上での課題が討議されました。

  • コロナ禍で自主防災活動が思うようにできなかった。
  • 住民の防災意識の低さ。このような方々をどのようにしたら高められるか。
  • 組織役員が1・2年で変わってしまう。

これらの課題に対する意見として、大人と子供が楽しみながら、防災意識も高められるような企画を運動会などのイベントに取り入れたり、応急手当に関することをクイズ形式して飽きさせないような施策をしているという意見がありました。

第Cグループ
(岩手・群馬・石川・京都・岡山・福岡・沖縄)

  • 他の地域のお話を伺って、自主防災リーダーであるような役員が世帯数に比べると、自分たちの地域は少ないと感じた。
  • 後継者不足に対してどのような対策をすればいいのか。
  • 役員の中に女性が一人もいない地域があり、どうすれば女性を役員に取り込めるのか。
  • 実際に災害に対して、危ないとされている箇所が地域にあり、行政に訴えても予算の関係でなかなか動いてくれないので、地区防災計画を地域住民自ら作成し、地域に意識を共有している。

など、日ごろの活動から感じている悩みなどを共有しました。


討議結果報告の様子(3)
第Dグループ
(福島・埼玉・福井・大阪・山口・大分)
色々な自主防災会が抱える問題点を討議しました。

  • 役員の高齢化と後継者不足
  • 住民の危機意識の欠如
  • 男女共同参画問題

これらに対して、いざ災害が起きた時には「行政の支援は期待できない」ということを、男性・女性だけではなく、子供から高齢者まで住民に共有しておく必要があり、この危機意識を住民にも持ってもらえば、これらの問題が解決していくのではないか。

第Eグループ
(秋田・千葉・岐阜・三重・兵庫・徳島・長崎)
今回集められた地域は、様々自然災害が起きている以外に、大きなコンビナートを抱え問題としている地区、あるいは全国に比べると災害が少ない地区のように、入り混じった地域です。

  • 地区住民の防災意識の低さ。
  • コンビナートを抱えている地区では、その企業と一緒に自主防災活動を行って、普段から顔が見える付き合いをしている。
  • 自主防災会の役員も含めて、地域の高齢化問題を抱えている。
  • 防災活動をする地域住民の減少。
  • いざという時には消防団にもお願いできるような関係性を、普段から作っている。
  • 避難所を運営するためには、女性目線が必要不可欠ですので、女性の防災士を増やしてはどうか。

第Fグループ
(北海道・山形・東京・愛知・和歌山・広島・熊本)
役員不足について

  • 役員が毎年変わってしまって、継続的な活動ができない。
  • 高齢化問題。地域には若い方もいるのだが、自分たちの活動が若い方に浸透されていない。

これらの対策として、普段から若い方と交流と持ってめぼしをつけておき、防災研修に行ってもらって、知識を得てもらい、いずれは役員になってもらうよう育てている。その他に、小・中学生の防災教育に力を入れている地域もありました。

『修了証授与と閉会の挨拶』


修了証授与

髙尾理事長による閉会の挨拶

 研修会参加者代表に、秋本会長より修了証を授与した後、(一財)日本防火・防災協会 髙尾 和彦 理事長による閉会の挨拶では、今回の研修会参加に対するお礼と、日頃地域で活躍されている自主防災組織の皆様へ感謝等を述べて、2日間の研修会を終了いたしました。

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